『ファーストラヴ』に込められた想いとは?北川景子、中村倫也、芳根京子、窪塚洋介、堤幸彦監督が特別座談会に集結!
「髪の毛には、『切ったれ!』と自分でハサミを入れました(笑)」(北川)
――北川さんは、公認心理師という職業については、どのようにリサーチをされたのでしょうか。ご苦労されたことはありますか?
北川「実際の公認心理師の先生に、カウンセリングを受ける機会を設けていただきました。皆さん、人それぞれ悩みがあると思いますが、私もこういうお仕事をしているからこその悩みを感じることもあって。カウンセリングを受けて、いろいろとお話させていただきました。もちろん公認心理師の先生によってアプローチの仕方も違うと思いますが、『こうやってクライアント(患者)さんと話をするんだ』と目の前で見ることができたのは、役作りをするうえでとても大きなことでした。私もこんなふうに、環菜さんと接することができたらいいなと思いました」
――北川さんは、由紀を演じるために30センチ以上髪をカットされましたね。ショートカットにするのはデビュー以来のことだそうですね。
北川「髪はもともと切りたかったんです!せっかく切るなら大切な、思い入れのあるお仕事で切りたいと思っていて。このような作品をいただいて切ることができたので、ご縁をいただいたという気がします。自分でハサミを入れたんですよ。『切ったれ!』という感じで(笑)。そういった経験ができたこともそうですし、現場もとても楽しくて、苦労というふうに感じたことはなにもありませんでした」
――芳根さんは、感情の起伏も激しい、とてもヘビーな役に挑戦されました。どのような苦労がありましたか。
芳根「環菜は、『このまま撮影が続いたら私はどうなってしまうのだろう?』と不安になるくらいの闇とパワーがある役でした。堤監督とも相談して、環菜が“不気味な存在”に見えるといいなと思っていました。環菜は笑っていると思ったら、もう怒っているなど、感情の浮き沈みも激しい。『相手が“関わりにくい”と感じるキャラクターにするには、どうしたらいいのか』といろいろ考えていたように思います。
でもやっぱり一番大きかったのは、現場に行って、北川さんと向き合った時に生まれてくる感情。面会室のシーンは、1人だったら絶対にできないお芝居。北川さんとご一緒できたから、この作品を乗り越えられたと思っています」
北川「芳根京子さんという女優は、本当にすごいんです。何度テイクを重ねても、涙がたくさん出てくる」
堤「かくいう北川さんもすごかったんです。2人とも“涙の魔術師”でしたよ」
<後編に続く>
取材・文/成田おり枝