松村北斗、『ライアー×ライアー』で一人二役の森七菜は「本当に別人のようでした」
「森七菜さんのお芝居にものすごく引き出された気がしました」
松村は、ツンデレぶりを演じたうえで、共演の森には心から感謝しているという。
「森さんの湊とみなの二役は絶妙でした。お芝居の力はもちろん、衣装とメイクでも、人はすごく変わるんだなと思いました。撮影を振り返ると、僕は透として、森さんが演じる湊とみなに身を委ねていた感じです。というか、僕から見て2人は本当に別人だと思えたので、なんの違和感もなく、湊とみなとして接することができました」。
透がみなに溢れる感情を吐露するシーンでは、森の演技を受け、大いに心が揺さぶられたそうだ。
「感情的になるシーンであればあるほど、どうしても理性が働き、冷静になってしまいがちですが、あるシーンでは、自分がお芝居をするなかで、みなへの想いが突き抜けた瞬間がありました。それはきっと、森さんのお芝居の情熱にものすごく引き出されたからだと思います。そのシーンは、いまでもはっきり覚えていて、それを自分の手応えと言っていいのかは分からないですけど、自分では頑張れた気がします」。
また、親友の桂孝昭役を、ジャニーズで同期の七五三掛龍也(Travis Japan /ジャニーズJr.)が演じている。七五三掛は、あとから撮影に参加した自分のことを松村がとても気遣って、チームの輪に入れてくれたと、感謝のコメントを出している。
「シメ(七五三掛)はあちこちでそう言ってくれているようですが、それはお互いさまなんです。そもそも僕とシメは、オーディションの時、ペアを組んでいた2人で、そのころから困った時はいつも助け合ってきた仲なので。当時、シメはもともとダンスをやっていて、振りの覚えがすごく早かったから、僕は彼から振りを教わっていました。そういう点では、当時と関係性は変わってなくて、今回は僕が先に現場入りして、いろいろなことを知っていたから、シメに教えてあげたというだけなんです。僕としては、やっとシメに恩を返せたなと思いました」。
本作のメガホンをとったのは、『映画刀剣乱舞』(19)の耶雲哉治監督だが、松村は改めて現場を振り返り「とても充実した撮影現場だったと思います。この作品や、監督と出会ったことで得られた物は大きかったし、映画の現場での楽しさも知りました」と多くのものを受け取ったよう。
「本作のあと、すぐに別作品の現場に入ったのですが、これまでとは脚本の読み方が全然変わったんです。その影響か、現場でも一発目のリハーサルでするお芝居も変化して、いままでよりも楽しいし、頭も良く回転する気がしました。それはきっと本作の現場を経たからだと思ったりもします。森さんをはじめとするキャスト陣や耶雲監督と今回初めてご一緒しましたが、全く知らない世界に入って、一定期間、熱くなれたことで、人って変われるんだなと思いました。しかも、あからさまに良いほうに変われた気がします」。そういった松村の瞳は輝いていて、今後の伸びしろを大いに感じさせた。
取材・文/山崎伸子