【今週の☆☆☆】松村北斗&森七菜W主演『ライアー×ライアー』、鮮烈な純愛ストーリー『ベイビーティース』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今週は、大人気コミックを映画化した奇想天外なラブストーリー、病を抱える少女と不良少年の恋を描く青春映画、日本の犯罪小説を韓国で映画化したサスペンスの、のめり込み必至な3本!
奇抜な切り口&斜め上をいく展開でハラハラドキドキ…『ライアー×ライアー』(公開中)
人気漫画家・金田一蓮十郎の同名コミックを、『百瀬、こっちを向いて。』の監督・耶雲哉治×『翔んで埼玉』の脚本・徳永友一のタッグで映画化。ある日、女子高生の格好をして街に出た大学生・湊は、義理の弟・透と遭遇。姉とは別人だと言い張る湊を信じた透は、なんと彼女に惚れてしまう。親の再婚により、義理のきょうだいになった男女の恋愛というザ・少女マンガ的な定番ネタが、奇抜な切り口と斜め上をいく展開でハラハラドキドキのユニークなラブコメディに。気づかないわけないでしょ!と突っ込みたくなる原作の1人2役設定も、湊を演じた森七菜の黒髪地味女子大生&金髪ギャルメイクJKの見事な変身ぶりのおかげで説得力大。ふだんは感情をあまり出さないツンデレのイケメン・透役の松村北斗、爽やか優しいメガネ男子・烏丸役の小関裕太もキャラのイメージにぴったりで、せつなくキュンキュンさせてくれる。本編ラストから、さらにストーリーが続いてくエンディングも楽しい!(映画ライター・石塚圭子)
新鮮な感動と驚きを味わえる…『ベイビーティース』(公開中)
16歳のミラを主人公にした、いわゆる「難病モノ」のドラマなのだが、センチメンタルな雰囲気は希薄。そこに新鮮な感動と驚きを味わえる、オーストラリア映画。駅のホームで体当たりしてきた、いかにも怪しい青年、モーゼスと、心が惹かれ合ったり、離れていったりと、微妙なラブストーリーが展開していく。あちこちにタトゥーを入れ、行動は唐突。どうやらクスリにも溺れていそうなモーゼス。危うさと純粋さを合わせもった相手に、一生に一度の恋だと本能的に夢中になるミラは、あからさまにではなく、じわっと共感させる。そんな作りも他の難病ラブストーリーと大きく違うかも。そしてモーゼスやミラに負けないくらい、ミラの母親や、向かいの家に住む妊婦など周囲の人物の言動が予想不能。それぞれが感情を激しくぶつけ合うドラマが、ミラの愛の運命をより純化する。ミラのウィッグの青みがかったグリーンのほか、パープル、ブルー、イエロー、ピンクなど、カラーを過剰に強調した衣装やインテリアによって、切実な世界が心地よい温かさに変わる。このあたりも映画のマジック。(映画ライター・斉藤博昭)
切羽詰まった男女が一線を越える瞬間のドキドキ感は格別…『藁にもすがる獣たち』(公開中)
数々の受賞歴を持つ曽根圭介の同名小説を韓国で映画化。店が潰れアルバイトで食いつなぐ中年男、闇金融の取り立てに追われる税関職員、借金とDV夫に苦しむ風俗嬢…切羽詰まった3人の男女が、思いがけず転がり込んだ大金話に翻弄される様が描かれる。どこにでもいそうな連中だけに一線を越える瞬間のドキドキ感は格別で、平凡な人々が犯罪に手を染めてしまう新藤兼人の『狼』を思い出す。スリルとユーモアのバランスや、同時進行で展開する3つのドラマが少しずつ絡みゆく構成もお見事。監督・脚本のキム・ヨンフンはこれが長編デビューだそうで、楽しみな才能がまたひとつ登場した。苦笑いしそうな不思議な後味を持つ作品だが、すべてを失い死にかけた痴呆の老婆がぽつりをもらす「生きてさえいればなんとかなる。いくらでもやり直せるのよ」というセリフはストレートに胸に刺さった。(映画ライター・神武団四郎)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/サンクレイオ翼