『Fukushima 50』が第3回映画のまち調布賞の作品賞を受賞「調布から生まれた映画」とアピール

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『Fukushima 50』が第3回映画のまち調布賞の作品賞を受賞「調布から生まれた映画」とアピール

「映画のまち調布 シネマフェスティバル2021」が2月5日から28日(日)まで開催中だが、2月20日に映画製作の技術者や制作会社を顕彰する映画賞「第3回映画のまち調布賞」の授賞式が、調布市文化会館たづくりのくすのきホールにて無観客で行われ、オンラインで配信された。作品賞は『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』が受賞し、株式会社KADOKAWA執行役員の堀内大示がトロフィーを受け取った。

堀内は「調布市民の皆さまに選んでいただいたのが、なによりうれしいことだと思っています。『Fukushima 50』は角川大映スタジオで撮影を行いましたので、調布から生まれた映画です。スタジオには東京電力の大きなセットを組みまして、東京電力の方にも見ていただきましたが、まるで本物のようだと褒めていただきました。そこで涙されていましたね」と撮影時を振り返った。

『Fukushima 50』の作品賞のトロフィーを受け取った株式会社KADOKAWA執行役員の堀内大示
『Fukushima 50』の作品賞のトロフィーを受け取った株式会社KADOKAWA執行役員の堀内大示

さらに「折しもこの3月11日で、東日本震災から10年を迎えます。3月11日に『Fukushima 50』が金曜ロードショーでオンエアされることが決まっていますので、ぜひ観ていただたいです」としっかりアピールした。

また、撮影賞を受賞した『Fukushima 50』の江原祥二は「スタッフ全員でいただいたものだと思っています」としたうえで「登場人物が非常に多くて、その整理といろんな芝居に苦労しました。特に電源が落ちたあとは、懐中電灯だけの撮影にしましたので、それが大変でした。シールドと真っ白な防護服なので、バランスに気をつけました」とこだわった点を明かした。

『カツベン!』の周防正行監督
『カツベン!』の周防正行監督

続いて、『カツベン!』で、照明賞の受賞者、長田達也と、美術賞の受賞者、磯田典宏が揃って登場。この部門では、『カツベン!』の周防正行監督がプレゼンターを務めた。

周防監督は「モノクロ・サイレントの時代から始まり、活動弁士という映画にとってかけがえのない人たちの活躍を描き、最終的にはカラーの現代作品として作り上げる。スタッフみんなで映画史を駆け抜ける感じで、楽しい仕事でした」と撮影を振り返り、長年、周防組で共にやってきた長田と磯田について「お2人がいることで僕は最年長にならずにすむ。ぜひこれからも一緒に仕事をしていきたいです」とおちゃめに語って笑いをとった。

【写真を見る】『カツベン!』で主演を務めた成田凌からスタッフ陣への祝福メッセージが!
【写真を見る】『カツベン!』で主演を務めた成田凌からスタッフ陣への祝福メッセージが!

さらに『カツベン!』で主演を務めた成田凌からも、祝福と感謝のビデオメッセージが。
「長田さんと磯田さんは、すごく心も身体ももてなして、安心させてくれました。僕にとっては初めての主演作で、ドキドキしてましたが、真ん中を過ぎたあたりで、長田さんが『主演(の顔)になってきたな。お前を照らしてるのも楽しいよ』と言われ、うれしくて涙が出そうになりました。俳優部にとっては美術もすごく大切で、不器用な背中を押してくれたり、プラスアルファのちからをもたらしてくれます。『カツベン!』を思い出すたびに、磯田さんを思い出します」。

2019年の第1回映画のまち調布賞でも『空飛ぶタイヤ』(18)で同賞を受賞している長田は「2度目の受賞で大変驚いています。『カツベン!』という作品に巡り会えて、また、照明という技術に光を当てていただき、ごほうびをいただいたことに感動しています」と感無量の様子。

全員でフォトセッション
全員でフォトセッション

長年、角川大映スタジオで働いていて調布市民だったという磯田も「私にとって原点に戻った感じで非常にうれしいです。いろんな芝居小屋を巡り、旅芸人のように撮影しましたが、映像にも表れていると思います」と喜びを口にした。

そのほか録音賞は『惡の華』の柳屋文彦が、編集賞は『蜜蜂と遠雷』の石川慶と太田義則が受賞。功労賞は石原プロモーションを率いた石原まき子が受賞したが、代理登壇となり直筆でのメッセージが紹介された。

取材・文/山崎伸子

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