9年ぶりのタッグ!『騙し絵の牙』吉田大八監督、松岡茉優に絶大な信頼感「彼女の演技は予想を簡単に超える」

インタビュー

9年ぶりのタッグ!『騙し絵の牙』吉田大八監督、松岡茉優に絶大な信頼感「彼女の演技は予想を簡単に超える」

「罪の声」などで知られる人気作家の塩田武士が、大泉洋を主人公にあてがきした同名ベストセラー小説を、『桐島、部活やめるってよ』(12)の吉田大八監督が映画化した『騙し絵の牙』(公開中)。主演はもちろん大泉で、ヒロインは『蜜蜂と遠雷』(19)や『劇場』(20)で高い評価を受けた松岡茉優が務めた。『桐島~』以来、9年ぶりにタッグを組んだ吉田監督と松岡に、本作の撮影秘話を聞いた。

大手出版社である「薫風社」で、創業一族の社⻑が急逝し、次期社⻑を巡っての権力争いが勃発。東松専務(佐藤浩市)の大改革により、雑誌が次々と廃刊されていくなか、「トリニティ」の編集⻑、速水輝(大泉)も、窮地に立たされる。上層部や作家、社員たちの陰謀が渦巻くなか、速水は新人編集者である高野恵(松岡)を巻き込み、生き残りを賭けた奇策に出る!

大泉洋にあてがきされた原作小説の映画化、『騙し絵の牙』は公開中
大泉洋にあてがきされた原作小説の映画化、『騙し絵の牙』は公開中[c]2020「騙し絵の牙」製作委員会

「大切な原作を預かったからには、映画として新しい命を作らないといけない」(吉田)

――松岡さんは今回、ヒロインを務められましたね。9年ぶりの吉田組はいかがでしたか?

松岡「また呼んでいただいて、本当にうれしかったです。吉田監督とはまだ若いころにご一緒しているので、特別な想いがありました。『桐島~』に出演した人たちは、きっとみんながそうなんじゃないかと思います」

吉田「僕も松岡さんと向き合う現場は2回目なので、かえって緊張しましたね。失望させたくないと思うから」

松岡「監督でもそう思われるんですか!?でも、私の緊張に比べたら…」

【写真を見る】松岡茉優、吉田大八監督と9年ぶりのタッグに「本当にうれしかった」
【写真を見る】松岡茉優、吉田大八監督と9年ぶりのタッグに「本当にうれしかった」撮影/野崎 航正

吉田「いやいや、当然意識しますよ。もちろん、現場でそんなこと気にしている余裕なんかまったくないんですけど。ただ、相手の期待に応えられる存在でありたいというのは、自分のモチベーションにもなります」

――吉田監督は脚本も手掛けていますが、小説と映画の違いをどう捉えて脚色されましたか?

吉田「小説には小説にしかできないことがあるし、映画も同じです。だから、小説の芯にあるスピリットを尊重したうえで、設定を多少変えることもあります。大切な原作を預かったからには、つまらない映画にしてしまうことが一番不誠実なので、ちょっと大げさですが、映画として新しい命を作らないといけないと思っています」

――松岡さん演じる高野恵の年齢や設定を変更した狙いとは?

吉田「大泉洋さん演じる主人公の速水輝を、よりミステリアスな人物に見せるため、彼の代わりに物語を牽引する役割が必要となりました。だから原作ではもうちょっと年上だった高野を、突破力のある新人という設定に変えてみたらうまくハマりました」

メガホンをとった吉田大八監督
メガホンをとった吉田大八監督撮影/野崎 航正

――吉田監督はミリ単位で細かい演出をされるという声を聞きますが、松岡さんはどんなふうに感じていますか?

松岡「よく吉田監督はテイク数が多いとか、演出が細かいというお話を聞きますが、私は一度もそう思ったことがなくて。的確に演出してくださるので、私としてはすごくやりやすいです。例えば、手の位置や台詞の抑揚などについて指摘してくださると、なるほどなと思います」


吉田「松岡さんとは、目の前にある問題が一瞬で共有できる感覚があって、僕も助かります。話が通じることでわかった気になりすぎるのは危険だけど、いまのところ松岡さんとはその心配はなさそうです。結局、映画に出てもらうのは好きな俳優さんだから、もっと好きになりたくて、いろいろちょっかい出したくなるんでしょうね」

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