ウェス・アンダーソン最新作やマッツ・ミケルセン主演のオスカー候補作も!「カンヌレーベル」注目作をピックアップ
2020年のカンヌ国際映画祭は、コロナ禍のために通常開催を断念。しかし映画祭が選出した作品は、「カンヌレーベル2020」という“お墨付き”を与えられ、ほかの映画祭や各国の上映で映画ファンを喜ばせている。その数、56本。2021年は、そんなカンヌレーベル2020の作品が、続々と日本で公開されている。カンヌに選ばれ、さらにその中から厳選されての公開なので、どれも傑作ばかり。見逃がすわけにいかない注目作や、今後日本での公開が期待される作品を紹介しよう。
ウェス・アンダーソンらしいこだわりの美術に魅せられる『The French Dispatch』
まず、『グランド・ブダペスト・ホテル』(13)などで日本でもファンの多いウェス・アンダーソン監督の新作『The French Dispatch』(2021年公開予定)。フランスの架空の出版社が発行する、アメリカの雑誌の最終号。そこに掲載された「刑務所の芸術家」、「政治」、「警視総監のダイニングルーム」という3つの物語が展開する、またしても野心的な作りだ。
ベニチオ・デル・トロ、エイドリアン・ブロディー、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントンといった超実力派のオスカー俳優に、ティモシー・シャラメ、アンダーソン作品常連のビル・マーレイと、ここには書ききれないほどの豪華キャストが集結。カラーとモノクロが美しく融合し、アンダーソンらしいこだわりの美術に魅せられる一作になっている。
1985年を舞台にしたひと夏の物語『Summer of 85』
同じく固定ファンが多い監督と言えば、フランソワ・オゾン監督。『Summer of 85』(8月20日公開)は、オゾン作品ならではの「ボーイ・ミーツ・ボーイ」の、ひと夏の物語。16歳の主人公が、フランスの海辺のリゾートで年上の青年と親しくなった思い出を回想する。
タイトルにある通り、舞台は1985年。当時のカルチャーがそこかしこに顔を出し、ノスタルジックな気分に浸らせつつ、誰もが経験したはずのせつない「恋」や「憧れ」が等身大に描かれていく。シビアな展開と軽やかなエピソードのバランスも絶妙。ロッド・スチュワートの名曲「セイリング」がポイントとなるクライマックスは号泣必至だ。