ジェイソン・ブラムが語る、低予算映画をハリウッドで成功させた秘訣とは?「いつか“完璧”な映画を作りたい」

インタビュー

ジェイソン・ブラムが語る、低予算映画をハリウッドで成功させた秘訣とは?「いつか“完璧”な映画を作りたい」

ホラーやスリラーなどを中心に、強烈な個性の作品を次々と世に送りだしながら、アカデミー賞作品賞候補になった『ゲット・アウト』(17)や、M・ナイト・シャマラン監督のキャリアを復活させた『ヴィジット』(15)以降の作品など、観客から熱烈な支持を受ける傑作も量産。ホラー以外でも、やはりアカデミー賞作品賞候補になったスパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』(18)などを手がけ、現在のハリウッドで、もっとも人気の高いスタジオとなったブラムハウス・プロダクションズ。
そのトップに立つジェイソン・ブラムに、新作『ザ・スイッチ』(公開中)の日本公開に合わせて話を聞いた。プロデュース作品の成功が続く理由は、なんなのだろうか。

「観客が感じる恐怖は時代と共に変わる。創造への努力を失ってはいけない」

ここまで勢いのあるブラムハウスには、おそらく数えきれない企画が持ち込まれているはずだ。そのあたりの現状をブラムに聞くと、「うれしい悲鳴」が出るような多忙な日常を明かしてくれた。
「だいたい1週間に25〜50本のプロジェクトを検討しています。だから1か月にすると、100〜200本という計算になりますね。その中から実際に製作へ移すのは、映画は年間で約10本、テレビは合計で100時間分が目安かな。持ち込まれるプロジェクトはもちろんのこと、こちらからも仕事をしたいクリエイターには積極的にアプローチしています」。

数々のヒット作や話題作を手掛けるブラムハウス・プロダクションの創立者ジェイソン・ブラム
数々のヒット作や話題作を手掛けるブラムハウス・プロダクションの創立者ジェイソン・ブラム写真:SPLASH/アフロ


このブラムの言葉どおりなら、ブラムハウスが目を通すプロジェクトは年間、1000〜2000本にも達するわけで、そこから映画は10本を選ぶということなら、かなりの倍率となる。どのような基準で製作を決定しているのだろうか。
「まずなにより、アイデアにオリジナリティがあること。ホラーなら、とにかく怖いこと。そして製作費を安く抑えられること。この3点をクリアしたうえで、僕またはブラムハウスのほかの重役が心から気に入れば、製作にゴーサインを出すんです。でもこうしたポリシーは、ブラムハウスの初期から徐々に変化しているとも思います。観客が感じる恐怖も時代と共に変わるわけですし、なによりポリシーを固定すれば、その時点で創造への努力も失われます。だから僕自身もつねに企画を見直すことにしています。毎日のレベルで、選択基準は変わっているんじゃないかと思います」。

「『ザ・スイッチ』は展開が独創的で、ホームランの作品になると確信しました」

新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない状況下での撮影も、「もともと僕らの撮影現場はスタッフが限定的でしたが、それをさらに少人数にしました。数々のガイドラインに従うために予算も増えましたが、いまのところ問題ない」と、柔軟な対応ができるところもブラムハウスらしい。

【写真を見る】地味な女子高生と連続殺人鬼の身体が入れ替わってしまう!?奇想天外なホラーとコメディの融合作とは
【写真を見る】地味な女子高生と連続殺人鬼の身体が入れ替わってしまう!?奇想天外なホラーとコメディの融合作とは[c] 2020 UNIVERSAL STUDIOS

では、ジェイソン・ブラムの選択基準を、新作『ザ・スイッチ』はどのようにクリアしたのだろうか。恐るべき殺人鬼と女子高生の肉体が入れ替わってしまう、いわゆる「ボディスワップ」の設定で、強烈な描写とコミカルな味わい、さらに青春ムービーとしての楽しさにあふれた、まさにオリジナリティ満点の作品だ。
「このアイデアはすぐに気に入りました。展開が独創的ですし、これをクリストファー・ランドンが演出するなら、ホームランの作品になると確信できたのです。クリスとはこれが7本目の仕事になりますが、彼は作品のトーンを保つ才能が信じられないほど優れています。前作の『ハッピー・デス・デイ』シリーズもそうでしたが、とくにコメディのセンスが並外れているんです。ホラーとコメディをうまく融合させられるのは、クリストファーとエドガー・ライトくらいですよ」。

殺人鬼が乗り移る女子高生がチェーンソーを手にして…ハラハラするゴア描写とユーモアとの強烈なギャップも魅力的
殺人鬼が乗り移る女子高生がチェーンソーを手にして…ハラハラするゴア描写とユーモアとの強烈なギャップも魅力的[c] 2020 UNIVERSAL STUDIOS

ボディスワップといえば、日本では『君の名は。』という特大のヒット作があった。その話をブラムに向けると、「そんな映画が日本でヒットしたんですか?ごめん、初耳ですよ。参考に観てみたいな。ふだんアニメーションは観ないけど」と笑う。

『ザ・スイッチ』は、コロナ禍でもアメリカで劇場公開された。完成した作品についてブラムは「脚本を読んでイメージしたとおりの作品に仕上がりました。早くも続編を作りたい気分」と満足げだ。

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