【第93回アカデミー賞】韓国人俳優で初の快挙!助演女優賞を『ミナリ』ユン・ヨジョンが受賞
現地時間4月25日(日本時間4月26日)に開催中の第93回アカデミー賞授賞式。助演女優賞は、『ミナリ』(公開中)のユン・ヨジョンに輝いた。同賞を韓国人女優が受賞するのは、史上初の快挙。アジア人では、1957年に映画『サヨナラ』で日本女優のナンシー梅木が受賞して以来、63年ぶり2人目のオスカー獲得となった。
『ミナリ』は、『ムーンライト』(16)などの映画スタジオA24と、ブラッド・ピットの製作会社PLAN Bがタッグを組んだ家族ドラマ。農業での成功を夢見てアメリカに移民した韓国出身の一家が、様々な困難を乗り越えながらたくましく生きていく姿を描く。ヨジョンは、娘一家と暮らすこととなる、毒舌で破天荒な祖母役を演じている。アカデミー賞の前哨戦とされる第27回全米映画俳優組合(SAG)、第74回英国アカデミー賞でも助演女優賞を受賞した。
温かな拍手に包まれてステージに上がったヨジョンは「お会いできて光栄です」とプレゼンターを務めたブラッド・ピットにラブコールを送り、スピーチ冒頭から笑いを誘った。「いつもテレビで観ていました。ここに来ることができるなんて、とても信じられません」と目を丸くし、「アカデミーに感謝申し上げます」とコメント。
「ワンダフル、『ミナリ』ファミリー」と映画を共に作りあげたメンバーの一人一人の名前をあげ、「私たちは家族になりました。なんといってもリー・アイザック・チョン(監督)。彼がいなければ、私はここにいません。私たちのキャプテン。心から感謝します」と感謝を述べた。さらに「私は競争を好みません」と同賞にノミネートされた同志たちに敬意を表し、「私は少しだけ運がよかっただけ。少しだけラッキーです。アメリカのおもてなしの気持ちでしょうか」とお茶目ににっこり。「最初の監督、キム・ギヨンにも感謝したい」とデビュー作である『火女』の監督にメッセージ。終始、笑いを誘いながらも、人柄あふれる心のこもったスピーチに、会場からは惜しみない拍手が送られていた。
ユン・ヨジョンは1947年生まれ、韓国出身。50年にもわたるキャリアのなかで、数多くの賞に輝く韓国の国民的女優だ。キム・ギヨン監督の『火女』(71)で映画デビュー。イム・サンス監督『ハウスメイド』(10)や『蜜の味 テイスト オブ マネー』(12)で国外からも高い評価を受け、ウォシャウスキー姉妹監督のテレビシリーズ「センス8」(15~17)のミンジュン役でアメリカでの英語ドラマデビューを果たしている。最近では、食堂を切り盛りする社長に扮したリアリティショー番組「ユン食堂」にて、ドラマ「梨泰院クラス」のパク・ソジュンらと共演し、日本でも人気を呼んでいる。
文/成田おり枝