「役者人生を終えても、いいと思えた」三石琴乃と山口由里子が振り返る、庵野秀明とミサト、リツコとの25年
「由里子ちゃんが演じたからこそ出た、リツコの魅力がある」(三石)、「琴ちゃんは、私が気を許せる数少ない人」(山口)
――こうしてお話を伺っていても、お2人のコンビネーションのよさが伝わってきます。お互いの目からご覧になって、ミサト、リツコにぴったりだなと思われる点はありますか?
三石「由里子ちゃんは、リツコよりも柔らかくて、天然なところがあって(笑)。私は『由里子ちゃん、最強!』って思っています。お芝居に対する信念がありながらも、ご本人に柔らかさや、寛大なところがあるので、冷静でシュッとしたリツコを演じてもまろやかさが出る。言葉としては厳しいものを発したとしても、尖った雰囲気にならず余裕が出てくるんです。それは由里子ちゃんが演じたからこそ出た、リツコの魅力だと思います」
山口「ものすごくうれしい。ありがとう!ミサトとリツコは学生時代からの同志であり、ライバルであり、一番近くにいた人ですが、私も琴ちゃんに常に友情を感じていて。声優さんで仲のいい人もたくさんいるけれど、そのなかでも琴ちゃんは、私が気を許せる数少ない方なんです。そして声優としては琴ちゃんの方が先輩で、いつも『さすが!』と思っています。だからこそ、“ミサトが艦長で、リツコがサブ”という関係性を演じることが、私にとっては非常に心地よいもので。ミサトを“支える”というポジションが、しっくりきていました」
――ミサトとリツコを演じたからこそ、気を許せる関係になれたのですね。
山口「本当にそう思います。私は初めての声優のお仕事が、『エヴァ』のテレビシリーズだったんです。声優さんやアニメのスタッフに知り合いは一人もいなかったし、マイク前でと言われてもどれくらいの場所に立てばいいのか、そんなことさえわからないまま現場に入って、緊張しっぱなしでした。琴ちゃんには『こういう時はどうしたらいい?』『馴染めなくてつらい…』とか時々、相談していましたね」
三石「初めてが『エヴァ』の現場だなんて、本当に大変だったと思う。テレビシリーズのころは特に、それぞれが負けるもんかと一生懸命になっていたし、その熱気のなかに入るなんて…」
山口「いまならば『エヴァ』の現場が特殊だったんだとわかりますが、当時は声優の仕事が向いていないんじゃないかと悩んでいました。私には無理かも?って(笑)。でも、いまはこの仕事を続けてこられたことをありがたく思っていますし、本当に感謝しています。『エヴァ』がなかったら、私は声優になっていませんでした。赤木リツコさんのおかげで、人生が大きく変わりました」
三石「私も『エヴァ』に感謝しています。『エヴァ』のテレビシリーズが始まる前は正義のヒロインを演じることが多かったんですが、ミサトは『“お姉さん”の役もやりたいな』と思っていたタイミングに、ちょうどいただいた役なんです。最初は背伸びをして空回りしてしまって、役作りについても悩むことが多かったです。でもミサトの年齢を考えてみると、当時の自分とほぼ同じだったんですね。『そのまま、作らないでやればいいんだ』と割り切ってからは、とても気持ちが楽になりました。悩んで苦しい時間もあったけれど、ミサトとの出会いがなければ、ここにいることもできなかった。『エヴァ』を通して、世界中のみんなといろいろな気持ちを共有することもなかったと思うと、感謝の気持ちでいっぱいです」
取材・文/成田おり枝
各劇場HPをご確認ください。
https://theater.toho.co.jp/toho_theaterlist/shin-evangelion.html
※ご鑑賞の際は各劇場での感染対策にご協力をお願いいたします。
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