【今週の☆☆☆】ラッセル・クロウがとにかく怖い『アオラレ』、バラ創りに挑む人々のサクセスストーリー『ローズメイカー』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今週は、あおり運転を題材にした旋律のアクション・スリラー、はみ出し者たちがバラの新種開発に挑むハートフルなヒューマンドラマ、1972年に“ソウルの女王”が教会で行った幻のライヴ・ドキュメンタリーの、ゾクゾクする3本!
ラッセル・クロウが野獣のごときサイコ野郎を怪演!…『アオラレ』(公開中)
昨今、社会問題化している“あおり運転”は、当然ながら日本だけの現象ではない。この映画の主人公であるシングルマザーのレイチェルは、渋滞に巻き込まれたさなかに、たった一度クラクションを鳴らしたせいで、悪質なあおり運転男の攻撃を受けてしまう。そして路上のストーカーと化したその中年男は、レイチェルの息子や知人にも理不尽な怒りの矛先を向け、行く先々で観客の想像を超えた惨劇を引き起こしていくのだ!スティーヴン・スピルバーグが若き日に放ったロードキラー映画の元祖『激突!』は、運転手の姿を映さない演出が不穏なスリルを増幅させたが、本作ではラッセル・クロウが怨念をたぎらせた目つきと威圧的な巨体で野獣のごときサイコ野郎を怪演。とめどもなくエスカレートする戦慄&衝撃シーンに悶絶必至だが、後味はすっきりのアクション・スリラーをぜひご覧あれ。(ライター・高橋諭治)
心にポッと灯をともすハートウォーミングな一作…『ローズメイカー 奇跡のバラ』(公開中)
人情味を感じさせるチャーミングでステキなオバサマと言ったら、右に出る者なしのカトリーヌ・フロ。『女はみんな生きている』や『大統領の料理人』などで日本でも人気の高い彼女が本作で演じるのは、世界最高峰のバラ・コンクールに挑む、バラ育種家のエヴ。ところが実は、父親から受け継いだバラ農園の経営は倒産寸前!そこで人手を確保するための苦肉の策として、職業訓練所から前科者やワケアリな3人を格安で雇い入れるが…。
頑固なプロvsワケありド素人3人組。エヴの期待どおりに役立ってくれるハズもなく、前半はトラブル続出。そんなドタバタの中、互いを分かり合い、バラ作りの面白さに目覚め(観客も興味津々で魅せられるハズ!)、団結してライバル大手と対決してコンクールを目指す展開が実に痛快! 本来なら交わるはずのない人間同士が出会い、ひょんな才能を開花させたり、奇跡を起こしたりするストーリーはよくある定番ものだが、『天使の分け前』や『パリの調香師 しあわせの香りを探して』などの系譜に属する、心にポッと灯をともすハートウォーミングな一作だ。(ライター・折田千鶴子)
ライブであると同時に“礼拝”。R&B界の伝説、至高のパフォーマンス…『アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン』(公開中)
R&B界の伝説、故アレサ・フランクリンの至高のパフォーマンスが、ここに!1972年の歴史的なライブアルバム「AMAZING GRACE」レコーディング時の記録映像だが、ただのコンサート・フィルムではない。ライブが行なわれたのはライブハウスやホールではなく、由緒正しい教会。そんな舞台設定からも明らかだが、映画の冒頭で語られるとおり、これはライブであると同時に“礼拝”でアレサが歌うのはすべて神への賛歌、すなわちゴスペルだ。礼拝とはいえ堅苦しさは皆無。黒人バプティスト教会ならではの、牧師と信者のコール&レスポンスにより場のエネルギーは沸騰。アレサのエモーショナルな歌声はもちろん、その場のエネルギーに圧倒されるに違いない!(ライター・有馬楽)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!なお、緊急事態宣言下にある都道府県の劇場の一部では引き続き臨時休業を案内している。各劇場の状況を確認のうえ、足を運んでほしい。
構成/サンクレイオ翼