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菅野美穂、高畑充希、尾野真千子が語る、『明日の食卓』で改めて考えた“家族の幸せ”

インタビュー

菅野美穂、高畑充希、尾野真千子が語る、『明日の食卓』で改めて考えた“家族の幸せ”

「こんなに酷い仕打ちを仕打ちを受ける役なんてめったにないので、逆に楽しく演じられた」(尾野)

さて、尾野が演じたあすみについては、菅野が「役柄的には、あすみさんを演じた尾野さんが、とてもやり甲斐もあると同時に、すごく難しかっただろうな、と思いました」と語るように、あすみに降りかかる災難は、“もし自分だったら!?”と考えると、恐ろしくて眠れなくなるレベルだ。すてきな一軒家、優等生の息子、遠距離通勤を選んだ夫と、一見、理想の家族に見えるのだが…。

尾野も「ここまでいろんな酷い仕打ちを受けるなんて、なかなかないことだから、こんな役ができるなんて幸せだと思うくらい、やり甲斐がありました」と認める。優しい年下夫の意外な一面が明らかになり、気位が高く美しい義母は、人知れず病気を抱えている。

理想的な家族像のように見えるあすみの家族だが、徐々にその闇が明らかに…
理想的な家族像のように見えるあすみの家族だが、徐々にその闇が明らかに…[c]2021「明日の食卓」製作委員会

極めつけは、優等生だと思っていた息子までも、恐ろしい一面を見せるようになる――。不幸てんこ盛りの役だけに、尾野は現場で「あすみとしては恐怖しか感じていないのですが、それを一歩引いて客観視してみることで、あまりの酷さに他人事として大笑いしちゃう感覚になっていました」と明かす。


果たして、そんなあすみが辿る結末とは――。本作を“一観客として素直に楽しんだ”と語った高畑のあすみに抱いた感慨が、より観客の関心を引き付けるだろう。曰く、「いままで“向こう側”の人に振り回されて来たあすみさんが、最後、ポンと“向こう側”に行った感じがして、すごく怖くて。それが好きというか…強烈な印象が残るラストでした」。

本作で約10年ぶりに主演を務めた菅野も、「3家族のなかで怒涛のように問題が出てくる中盤以降からはもう、息が止まりそうで(笑)。すごい、すごいと息を詰めて観ていました」と、のめり込んで観た本作のおもしろさを語った。

『明日の食卓』で3人の母を演じる女優陣が、家庭問題のリアルについて語り合う
『明日の食卓』で3人の母を演じる女優陣が、家庭問題のリアルについて語り合う撮影/杉 映貴子 ヘアメイク/北 一騎(Permanent )(菅野)、根本 亜沙美(高畑)、黒田 啓蔵(Iris)(尾野) スタイリスト/青木 千加子(菅野)、Shohei Kashima(W)(高畑)、伊藤 真弓(BRÜCKE)(尾野)

最後に、3人を苦しめる男たち――留美子の夫、加奈の弟、あすみの夫――揃ってダメな3人のなかでも、最も許せないのは誰だろうか。すかさず尾野が「お金を盗る男って、クソだよね」と口火を切ると、菅野が「でも最悪なのは、やっぱりあすみの夫」とキッパリ。高畑も即座に同意するが、同時に「でも、彼も少し可哀そうな気がして…」と少々同情を示す。

加えて高畑が「私、ダメ男容認派ではないのですが、加奈の弟だけは憎み切れないです。親とも心の距離が遠く、姉と弟2人で肩を寄せ合って生きて来たんだなと思うと、怒る気になれなくて」とポツリ。菅野も「弟くんは想像力が足りないだけで、お姉さんのことは大好きだから」と擁護派に回る。当の留美子の夫に対しては、「いちいち夫に頼むより、自分でやってしまった方が速いから、すべてやって来てしまった結果…とも言えるので憎み切れないかな」と、一抹の理解を示した。

取材・文=折田千鶴子

衣装協力/
菅野…ネックレス¥2,200,000、ブレスレット¥792,000、イヤリング¥2,035,000/ミキモト
高畑…ワンピース¥73,000/VIVIANO(VIVIANO)、シューズ¥32,000/lostinecho(VIVIANO)、ピアス¥63,000、リング¥67,000/すべてCHARLOTTE CHESNAIS(EDSTRÖM OFFICE)
尾野…ピアスtalkative(トーカティブ)
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