「“ここで撮りたい”気持ちがストレート」『唐人街探偵』日本ロケの功労者たちが中国映画から受けた刺激

インタビュー

「“ここで撮りたい”気持ちがストレート」『唐人街探偵』日本ロケの功労者たちが中国映画から受けた刺激

中国で大ヒットした人気シリーズの第3弾となる『唐人街探偵 東京MISSION』(公開中)。本作は東京を舞台に、日本、中国、タイの探偵が協力しながら、難事件に挑むコメディあり、ミステリーあり、アクションありの全ジャンルメガ盛りの超絶エンターテインメント。日本から妻夫木聡、長澤まさみ、浅野忠信、三浦友和、染谷将太、鈴木保奈美らが参加している。渋谷、新宿、秋葉原、レインボーブリッジといった東京の名所でのロケが行われた本作の撮影裏話を、プロデューサーの鎌田雄介、プロダクション・マネージャーの福井一夫、東京ロケーションボックスの松本忠に伺った。

西新宿を闊歩する中国、日本、タイの探偵たち
西新宿を闊歩する中国、日本、タイの探偵たち[c]WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

「“できないこと”を“できる”にするためにはどうしたらいいのかを常に考えた」(鎌田)

――本日の取材場所は、劇中にも登場する浜離宮恩賜庭園内の「中島の御茶屋」です。どのようなリクエストがあり、この場所を撮影地として選んだのでしょうか?

福井一夫(以下、福井)「『(中国の制作スタッフから)バックに高層ビルが並ぶ日本庭園で撮影したい』という希望がありました。浜離宮恩賜庭園の情景を非常に気に入ったらしいのですが、都立の庭園なので、許可取りにはとても苦労しましたね」

松本忠(以下、松本)「開園の前後でしか撮影ができない場所でしたので、朝6時過ぎくらいから撮影して9時までに撤収。夜は閉園後の17時以降に撮影して21時に撤収という限られた時間での撮影でした」

福井「日本に3台くらいしかない45フィート(約13.7m)のクレーンを使用したのですが、搬入には苦労しました。通ってはいけない場所もたくさんあるので、経路を選びながら運びました。エンジンも付いていないので人力で押して定位置まで持っていくのは大変でした」

【写真を見る】大きなクレーンを運び込んだ浜離宮恩賜庭園の撮影風景
【写真を見る】大きなクレーンを運び込んだ浜離宮恩賜庭園の撮影風景[c]TLB

鎌田雄介(以下、鎌田)「本来はドローンを飛ばしての撮影を希望していたのですが、当時はちょうど、この界隈をドローンが飛んでニュースになったばかりで…。場所柄、ドローンを飛ばすのにも適していないということで、クレーンを使用することになりました」

福井「このサイズのクレーンは、日本ではミュージックビデオのPVや野外フェスで使われることが多く、私自身、撮影では一度だけ使ったことあるかなというくらい。(日本で)映画の撮影で使用されるのは珍しいものなんです」

鎌田「クレーンを使うこと自体も大変でしたが、夜の撮影ではさらに手間がかかりました。照明器具を立てて良い場所が限られていたため、『照明が立てられないなら、紐をつけて支えればいい』という考えでバルーンライトを使用しました。本作の撮影ですごく印象的だったのは、チームワークがすごく良くて、“できないこと”を“できる”にするためにはどうしたらいいのかを常に考えたことです。アイデアもたくさん出たし、中国の制作スタッフたちの対応がすごく早いことには驚きましたね」

プロデューサーの鎌田雄介
プロデューサーの鎌田雄介

「彼らは知らないからこそ『撮りたい!』と主張し、諦めない」(福井)

――浜離宮恩賜庭園での撮影許可を取るにあたり、どのような苦労がありましたか?

鎌田「これまで、映画やドラマの撮影で使用したことのない場所だったので、松本さんには本当に頑張っていただきました」

松本「(冒頭で)福井さんも説明された通り、浜離宮恩賜庭園は都庁内の建設局が管理しているので、何度も相談に伺い、公園協会を通じて撮影許可をいただきました。庭園は文化財ですし、特に中島の御茶屋の撮影は、とにかく“書類を作り、説明に行く”の繰り返しでしたね。文字通り、東京ロケーションボックスのスタッフ総出で対応しました」

鎌田「中島の御茶屋はテラスで撮影したのですが、室内はセットを組みました。文化財なので、木戸を外すだけでもとにかく大変で。中が見えないようにカバーをかけて撮影すれば楽なのですが、そこは映像へのこだわりもあり、手間やお金がかかっても一番良いと思う方法を選びました」


浜離宮恩賜庭園にある「中島の御茶屋」のテラスを使って撮影
浜離宮恩賜庭園にある「中島の御茶屋」のテラスを使って撮影[c]TLB

福井「一度許可を取ったら、申請した通りのスケジュールで実行しなければいけません。変更はきかないので、“実際にやってみたら難しかった”と思うことも、内容を変えることなくやらなければいけない」

鎌田「良い意味で、こういった日本の都合を知らないスタッフたちでした(笑)。『ここで撮りたい!』という気持ちだけでリクエストしてきますからね」

福井「日本の情勢を知っている私たちからすれば『撮れないよ』と諦めてしまいそうな場所でも、彼らは知らないからこそ『撮りたい!』と主張し、諦めない。ここでしか撮れないし、ここで撮りたいという気持ちがストレートでしたね」

鎌田「それがだんだん、私たちのテンションを良い意味で上げてくれている気がしました。大変なことをやっているけれど、やらされているという気持ちは一度も湧きませんでした。発想は突拍子もないし、無茶も言うけれど、おもしろいから頑張ってみようという気持ちになりました」

プロダクション・マネージャーの福井一夫
プロダクション・マネージャーの福井一夫

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