試し読みも!和山やまワールド全開「夢中さ、きみに。」をドラマ&漫画から徹底解説|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
試し読みも!和山やまワールド全開「夢中さ、きみに。」をドラマ&漫画から徹底解説

コラム

試し読みも!和山やまワールド全開「夢中さ、きみに。」をドラマ&漫画から徹底解説

今年に入り、数々のテレビ番組で名前が取り上げられている注目の漫画家、和山やま。「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)や「アメトーーク!」(テレビ朝日系)、「王様のブランチ」(TBS系)などにおいて、漫画好きの著名人たちが彼女の作品をこぞって紹介しているのだ。

特に多く挙げられるのは、ユニークな男子高校生たちのゆるい日常を描いた青春群像劇「夢中さ、きみに。」。累計27万部を突破したこの大人気コミックが実写ドラマ化されていたことはご存知だろうか。ドラマは深夜枠での放送ながら豪華スタッフと若手実力派俳優たちが漫画の世界観を表現し、話題を呼んだ。本稿では7月14日のドラマ「夢中さ、きみに。」Blu-ray&DVD発売に併せて、和山ワールドが炸裂した漫画とドラマの魅力を徹底解説していく。

【写真を見る】和山やまの魅力が詰まった珠玉の1冊「夢中さ、きみに。」。「カラオケ行こ!」ほか連載中の作品まで本編をちょっと見せ
【写真を見る】和山やまの魅力が詰まった珠玉の1冊「夢中さ、きみに。」。「カラオケ行こ!」ほか連載中の作品まで本編をちょっと見せ「夢中さ、きみに。」著/ 和山やま 発売中 価格:各770円(税込) KADOKAWA刊


いま最注目の“和山やま”とは

そもそも、和山やまとはどんな人物なのか。飛ぶ鳥を落とす勢いで注目を浴びた気鋭の漫画家のため、意外にもその経歴を知らないという人も多いだろう。

和山は大学生の頃に「和山友彦」名義で描いた「優等生の問題」が第67回ちばてつや賞に入選。それをきっかけに「モーニング」(講談社)で連載を目指すも一時は断念し、自分自身が本当に描きたいものを追求した結果、近年新たな才能を生み出し続けるPixivに投稿した「夢中さ、きみに。」にも掲載の「うしろの二階堂」が話題に。さらに、「コミティア127」で同人誌「夢中さ、きみに。」を発表したところ、「コミックビーム」編集者の目に留まり書籍化が決定した。

KADOKAWAから発売された単行本は品切れが相次ぐほどで、同作は第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞、第24回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。2020年2月から「FEEL YOUNG」(祥伝社)で開始となった連載処女作「女の園の星」も「このマンガがすごい!2021」オンナ編の第1位に選ばれるとともに、9月に出版された「カラオケ行こ!」が第5位にランクインするなど、いずれもヒットを飛ばしている。

「このマンガがすごい!2021」オンナ編の第1位に選ばれた「女の園の星」
「このマンガがすごい!2021」オンナ編の第1位に選ばれた「女の園の星」『女の園の星』(C)和山やま/祥伝社フィールコミックス

和山ワールドの魅力はなんといっても、ちばてつやも評価した耽美的で端正な絵柄からは想像もつかないシュールな内容。ギャグ漫画という位置付けだが、決して突拍子もない設定や派手なボケもツッコミも存在しない。舞台となるのは主に学校で、誰もが懐かしさを感じさせる中高生の淡々とした日常が展開されている。しかし、とにかく言葉選びが秀逸で、登場人物から発せられる台詞がボディブローのようにじわじわ効いてくるのだ。

例えば、「夢中さ、きみに。」の第1話「かわいい人」。本作にはメインとなる2人の主人公が存在し、1人は「うしろの二階堂」に登場するみんなから「目を合わすと呪われる」と忌み嫌われている二階堂明と、「かわいい人」こと林美良だ。林は一見無駄と思われる行為を愛するミステリアスな男子高校生であり、第1話の冒頭ではいつかクマに遭遇した時のために対処法本を読んでいる。そんな林にあるきっかけから絡まれることになった同級生、江間譲二が東京生まれ東京育ちのお前がいつクマに遭遇するのかを聞いたところ、林は「さぁ…玄関あけたらいるかもしれない」と回答。それに対して、江間は「いねぇよヨネスケじゃあるまいし」と淡々とツッコミを入れる。何気ない一言だが、1テンポ遅れて吹き出してしまうスローテンポな笑いが唯一無二の魅力だ。

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「夢中さ、きみに。」著/ 和山やま 発売中 価格:各770円(税込) KADOKAWA刊

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「夢中さ、きみに。」著/ 和山やま 発売中 価格:各770円(税込) KADOKAWA刊

独特なスローテンポが魅力の和山ワールド
独特なスローテンポが魅力の和山ワールド「夢中さ、きみに。」著/ 和山やま 発売中 価格:各770円(税込) KADOKAWA刊

和山本人はインタビューで「私の作品を読んだ方から『ゆったりしている』と言われることが多いのですが、それは私が、皆がゆったりと過ごしている沖縄で生まれ育ったからかもしれません」と語っている。ゆったりとした沖縄の風土が生んだ鬼才、和山やま。ドラマ「夢中さ、きみに。」Blu-ray&DVDの初回封入特典のブックレットには、彼女の貴重なインタビューも掲載されている。

■「うしろの二階堂」の試し読みはこちら

■「ファミレス行こ。」
「カラオケ行こ!」の続編。月刊コミックビームで不定期連載中。
掲載情報は和山やま公式Twitter(@YamaWayama_PR)、コミックビーム公式(@COMIC_BEAM)を参照。
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