「全裸監督 シーズン2」“歌舞伎町ロケ”を実現させた、制作者と地域の信頼とは?撮影秘話を徹底鼎談!
「地域のあと押しがあった時は柔軟に対応していただける」(遠藤肇)
――新宿歌舞伎町で撮影するのは特に難しいんですね。
遠藤「新宿や渋谷は特にロケ撮影に対してのクレームが多いところ。まして夜の歌舞伎町なんて、なにもなくても警戒しているようなエリアだから、警察も『できれば、やめてほしい』と言いますね。ただ、新宿署の方々も東京ロケーションボックスの活動を少しずつ理解してくださるようになって、我々が絡んだり、新宿観光振興協会さんや新宿区のあと押しがあった時は柔軟に対応していただけるようにはなってきているんです。そういう意味では、撮影が昔よりはやりやすくなりました。実際、今回も新宿観光振興協会さんの“名前”で撮影がOKになるケースが何度もありましたから」
菅谷「新宿西口の角筈ガード下(西新宿1丁目付近)のロケはその代表的な例ですね。村西が露天商をするあのガード下に武正晴監督はすごくこだわっていたんですけど、遠藤が新宿署に撮影の相談に行ったら、警察の方に『思い出横丁さんや近辺を管理している組合には話を通したの?』と言われたんです。なので、この時も新宿観光振興協会さんにお願いして、前任の高橋さんにも同行していただく形で『新宿西口 思い出横丁』(新宿西口商店街振興組合)の理事長さんや周辺を管理している新宿西口会館のご担当者につないでいただきました」
――思い出横丁の理事長さんはすぐに撮影を承諾してくださったんですか?
菅谷「それが、最初は『映画やドラマの撮影にはお貸ししてないんですよ』と言われて…。でも、高橋さんのおかげで、思い出横丁のすべてのお店に挨拶に行って許可をもらい、決して迷惑にならないような対策を立てて撮影することを条件に許可をいただけました」
遠藤「思い出横丁は、過去に行われた別作品の撮影ですごく迷惑を被ったことがあるらしいんですよ。映画やドラマの制作者には本作のようにきっちり許可をとって真面目に仕事をする人もたくさんいるけれど、勢いだけでやっちゃう人もいるので…そういう良くない記憶だけが残った思い出横丁では、それ以後ずっと撮影はNGだったんです」
菅谷「なので、本作の制作の人も『思い出横丁はなかなか触れない』と言っていたのですが、新宿観光振興協会さんに同行していただいたことで理事長さんも承諾してくださって。本当にありがたかったです」
「元に戻す時に清掃して、以前よりも綺麗にしてお返しする」(菅谷まゆ)
――あのシーンでは、ガードの向こう側に『羊たちの沈黙』や『バックドラフト』といった当時の映画ポスターもちゃんと貼ってありましたね。
菅谷「あれはCGだと思います。撮影時、西口の看板は現状のままだったので、私も完成した作品を観た時にうまく合成されているなと思いました。一方で、ここの撮影では、ガード内の蛍光灯を一つ飛ばしで消したいというリクエストが制作の方からあって。それで、あのガード下通路の照明を管理している新宿区の担当部所にお願いに行きました」
高橋「道路課ですね」
菅谷「そうです。スイッチを一つずつ消せばいいという単純な話ではなかったので、照明スタッフの方が一つずつネジを外して、カバーを開けて消していったんです。それを元に戻す時に清掃して、以前よりも綺麗にしてお返しするという話をさせていただくことで、ご承諾いただけました」
――あの場所も、一般の人がけっこう行き来したんじゃないですか?
遠藤「ほとんどいなかったですよ。スタッフが集合したのが深夜0時ごろでしたから」
菅谷「コロナ禍で終電も早くなっていたと思いますし、終電後になると人はほとんどいなかったですね。雨を降らせるシーンだったので散水車をガードのけっこうギリギリまで入れました。上を通る貨物車のタイミングに合わせて雨を降らせたんですけど、その時も夜中なのに前任の高橋さんが立ち会ってくださいました」
遠藤「思い出横丁のご担当者もいたよね」
菅谷「いらっしゃいました。そういう方々が見守ってくださっているだけでも心強かったです」
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