ジェームズ・ボンドのトリビアが満載!「007」シリーズを楽しむ25のキーワード
【6】ワルサーPPK
ボンド愛用の拳銃として広く知られるようになったドイツ・ワルサー社の小型セミオートマティック拳銃。『ドクター・ノオ』(62)の冒頭で、ボンドはMに愛用していたベレッタからワルサーPPKに替えるよう命令される。これは原作の「ロシアより愛をこめて」のラストでボンドがメイドに化けたローザ・クレッブに襲われた際、ベレッタがホルスターに引っかかって抜けず、ナイフで刺されて半年間入院する羽目となったため。『オクトパシー』(83)ではワルサーP5、『トゥモロー・ネバー・ダイ』(97)ではワルサーP99に変更されたが、『慰めの報酬』(08)でPPKに戻り、『スカイフォール』(12)からは後続のPPK/Sを使用。
【7】スポーツ
厳しいトレーニングを重ねているボンドはスポーツ万能。格闘技や射撃はもちろんのこと、『サンダーボール作戦』(65)ではダイビング、『女王陛下の007』(69)や『私を愛したスパイ』(77)ではスキー、『ユア・アイズ・オンリー』(81)ではロック・クライミング、『カジノ・ロワイヤル』ではパルクール・アクションまで披露した。2012年のロンドン・オリンピック開会式では会場にエリザベス女王と華麗なスカイダイビングで現れたボンド。競技に出場したら金メダルを獲得したことだろう。
【8】スーツ
英国紳士のダンディズムの象徴であり、ボンドにとっては戦闘服でもある。『ドクター・ノオ』で着用したアンソニー・シンクレアのスーツは1960年代初期にロンドンのウエストエンドの主流だったスタイル。『ダイ・アナザー・デイ』(02)のブリオーニのスーツは1930〜1940年代のテーラード・スーツの再現で、『慰めの報酬』以降のトム・フォードのスーツは襟に3つのボタンがあり、これは1950〜1960年代にアメリカやナポリで人気のあったスタイルと、まさに時代を超越したゴールド・スタンダードなデザインなのだ。
【9】時計
ファンの間で起こる論争の一つに“ジェームズ・ボンドの時計はロレックスかオメガか?”がある。ショーン・コネリー時代のボンドの時計は原作と同じロレックスだったが、ピアース・ブロスナンの『ゴールデンアイ』(95)以降はオメガとなった。その理由は、衣装を担当していたリンディ・ヘミングがイギリス海軍の公式時計がオメガであることから、海軍所属のボンドもオメガを使うはずとオメガ・シーマスターを選んだことによる。ガイガーカウンター機能からFAX受信や電磁石、カッター、爆弾など、最も身近な武器としてボンドを助けてきたボンド・ウォッチ。共通する最大の機能は「時刻が分かる」ことだ。
【10】靴
英国紳士の靴といえば革靴。足元がはっきりと映る『ゴールドフィンガー』のゴルフ後のシーンで、ボンドはひも靴の茶色スエード製チャッカブーツを履いている。だが原作「女王陛下の007」では“靴ひもが嫌い”と書かれており、ひもなしの靴へ移行する。時は流れクレイグ版ボンドでは、クロケット&ジョーンズを愛用。『スペクター』(15)のローマのシーンでは、ひもではなくベルトで留めるキャンベリーを使用している。