『るろ剣』『孤狼の血』から『燃えよ剣』へ…飛躍を続ける村上虹郎、撮影現場で見せた素顔
原田眞人監督も絶賛する実力を、『燃えよ剣』でも発揮!
そして本作『燃えよ剣』で演じる以蔵は、飄々とした風体でどこか常人離れした雰囲気を漂わせながらも、ひとたび刀を握れば圧倒的な強さを見せつけるという、まさに村上にうってつけといえる役どころ。実はこの以蔵は、原作小説には登場しておらず、幕末の攘夷運動のきっかけとなったある事件が司馬の別の短編に描かれていたことから、その繋がりを重視して映画の登場人物に加えられたのだとか。
劇中では土方歳三役を演じる岡田と迫力満点の斬り合いを披露する村上。撮影現場では本作の剣技指導と監修も務めた岡田から直接アドバイスをもらうことも多かったようで、「『こうしたら本物に見えるよ』とか、『そうしたらあんまり強く見えないよ』とか、細かく指導いただいて、本当に弟子入りしたい気分です」と岡田への尊敬の念を語っていた。
数年前に原田監督会った際「お前、馬乗れるか?」と訊ねられ、「乗れます!一応剣道もできます!」と、どんな作品かも知らぬまま猛アピールしたことから本作の出演につながったという村上。原田監督は以蔵役の条件として、日本屈指のアクション俳優である岡田と台頭に渡り合える能力を持つ俳優を探していたとのことで、「運動神経もいいし、やっぱり虹郎が一番良いよねということになりました」と、村上がキャスティングされた経緯について振り返る。
原田監督と村上の父・村上淳は、『バウンス ko GALS』(97)以来の付き合いで、村上の幼少期も知っているとか。「かつて仕事をした役者の子どもをデビューさせたり出演させたりすることは、小津安二郎監督やイングマール・ベルイマン監督もやっている。そういう繋がりっていいなあと、ずっと思っていました」と感慨深げに語る原田監督。その期待に応えるように本作でも見事な熱演を見せている。
大友啓史、白石和彌、原田眞人と日本を代表する骨太な演出家から撮影現場で多くのことを吸収し、さらなる飛躍を遂げようとしている村上。その活躍から、今後も目が離せなくなりそうだ。
文/久保田 和馬