古田新太&松坂桃李、『空白』出演の決め手は“お互いの存在”「こんな絡み方ができるなんてそうそうない」
吉田恵輔監督の最新作『空白』(公開中)で、古田新太と松坂桃李が実写映画で初共演を果たした。古田は、不慮の事故で娘を失いモンスターと化していく父親、添田役を怪演。松坂は彼に追い詰められ壊れていくスーパーの店長、青柳役に扮した。彼らが対峙する場面は、異様な緊張感が張り詰める瞬間ばかり。なんとも濃密な関係性での共演となったが、「桃李と芝居ができるのは楽しそうだなと思った」、「古田さんとこんな絡み方ができるなんて、そうそうない機会」とお互いの存在が大きな原動力になったと、声を揃える。
本作は、『ヒメアノ〜ル』(16)や『BLUE/ブルー』(21)の吉田監督がオリジナル脚本で届けるヒューマンサスペンス。スーパーで万引きを疑われ、店長の青柳(松坂)に追いかけられた女子中学生の花音(伊東蒼)は、逃走中に車に轢かれて死んでしまう。少女の父親(古田)はせめて娘の無実を証明しようと店長を激しく追及するうちに、その姿も言動もモンスターと化し、関係する人々全員を追い詰めていく。いまの時代に感じる生きづらさや不条理に「演劇で抗っていきたい」と演劇の力を信じる古田が“役者道”の歩み方を明かすと共に、松坂が彼から受ける刺激を語った。
「オイラと(寺島)しのぶちゃんが罵り合っている間に入るなんて、絶対にイヤだよね(笑)」(古田)
ーー添田も青柳も、どん底へと落ちていくようなヘビーな経験をする役柄です。脚本を受け取った時には、どのような感想を抱きましたか?
古田「役柄的には楽しくないなと思いました(笑)。添田は、娘の事故の加害者や青柳、彼の店で働く女性など、いろいろな人を責め続けるような男なんですけど、そのうちにだんだん心情が変化していく。映画を観た人に、添田の見た目は最後まで一切変わらないけど『なにかしら彼の心が動いたんだな』と感じてもらえるものにしたいなと思いました」
松坂「僕も、とにかく重たい内容だなと思いました。古田さん演じる添田と、寺島しのぶさん演じる草加部が言い争う間に入っていかなければいけないシーンもあって、『このお2人に挟まれることになるのか…』と」
古田「それは憂鬱だね!オイラとしのぶちゃんが罵り合っている間に入るなんて、絶対にイヤだよね(笑)!」
松坂「個人的には、争いが収まるまで遠目で見ていたかったです(笑)。でも青柳はそこに割って入っていかなければいけない役柄ですから…」
ーーそれでも「ぜひ本作に参加してみたい」と思われた理由とはどのようなものだったのでしょうか。
古田「オイラは、『桃李と2人で芝居ができるんだ』と。それが一番大きかったです。いままでは(声優として共演した)『パディントン』でしか共演したことがなかったら、桃李とやれるなら楽しそうだなと思った」
松坂「それは僕もまったく同じです。古田さんとこんな絡み方ができるなんて、そうそうないだろうなと思って。これはちょっと食いつかせていただきます!と(笑)」
古田「でもまずは、吉田監督の真意が聞きたかったですね。『どういうつもりで、この役をオイラと桃李にしたいと思ったのか』と聞いたら、監督は『イメージ通りだった』と言うんです。どんなイメージを持たれているんだって思いましたね」
松坂「確かに!それはあまりいいイメージを持たれてないということでは(笑)!」