『ミッドサマー』のフラワードレスやジブリ特別展も!オープン目前のアカデミー・ミュージアム、映画史を彩る展示物を徹底レポート
現地時間9月30日、映画の都ロサンゼルスに、満を侍してアカデミー・ミュージアムが開館した。開館に先立ち報道機関向けに開催されたプレスデーでは、『ピッチ・パーフェクト』(12)のアナ・ケンドリックが司会を務め、トム・ハンクスや『パラサイト 半地下の家族』(19)のプロデューサーであるミキ・リー、アカデミー・ミュージアム館長のビル・クレイマーらが開館会見を行った。
ミュージアムの役員を務め、資金繰りにも一役買ってきたハンクスは展示を内覧した際の感想をこう述べていた。「たくさんある展示のなかに、まだ電気などない時代にろうそくの灯りで映像を投影したプロジェクターが展示されています。暗い部屋の中で物語を語り、私たちを別の世界に連れて行ってくれる、映像の力があります。そして、鑑賞した映画のことを思い出すと、その映画だけでなくどこの映画館で観たかも思い出すものです。オークランドのシネラマドームで『2001年宇宙の旅』を観て、アラメダの劇場で『タクシードライバー』を観たことを思い出しました」。そして、パンデミックによって何度も延期されてきた開館日を迎える万感の思いをこう表した。「いまやロサンゼルスの街の一部となったこのミュージアムの前を通ると、いつもこう思います。これは世界最大の幻灯機(映写機の原型)だ、と。見知らぬ人たちと一緒に暗い部屋に入り、その体験を共有するだけで私たちを素晴らしい場所へと運んでくれるものです。ついに、開館します。アカデミー・ミュージアムへ、ようこそ!」。
『ワンハリ』『ミッドサマー』の衣装も!映画史を肌で感じる展示室
イタリア出身で、日本では銀座のメゾン・エルメス銀座などの建築を手掛けたレンゾ・ピアノが設計を担当。隣接するロサンゼルス郡現代美術館とつながるように、2つの建物で構成されている。そのうちの1つ、球状の建物には1000名を収容可能なシアターがあり、開館後は毎日映画の上映が行われる。地上7階、地下1階の建物には展示室とレストラン、ミュージアムショップがある。
アメリカおよび世界の映画の歴史を紐解く映像や展示物を通し、映画制作の過程の紹介がコンセプトになっている。展示のなかには、スパイク・リー監督のスタジオの壁を飾る様々なインスピレーション源を開示したコーナーがあり、黒澤明監督の『羅生門』(50)や、ロバート・デ・ニーロ、マーティン・スコセッシ監督らのサインが入った『タクシードライバー』(76)のポスターなどが飾られ、2019年に『ブラック・クランズマン』(18)で第91回アカデミー賞脚色賞を受賞した際に着用していた、紫のスーツも展示されている。
そのほか、衣装の展示では『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)でブラッド・ピットが着用していたアロハシャツや、『クレイジー・リッチ!』(18)でオークワフィナが着ていたウサギ柄の衣装、A24がパンデミック中に開催したオークションで落札された『ミッドサマー』(19)のフラワードレスなども展示されている。
「ストーリー・オブ・シネマ」の展示では、数々の名作のクリップ映像を大型スクリーンに写し、関連する小道具や衣装などを展示している。『燃えよドラゴン』(73)でブルース・リーが着ていたカンフー・スーツ、『オズの魔法使』(39)でドロシーが履いていた赤い靴など貴重なアーガイブのほか、『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)で第90回アカデミー賞作品賞、監督賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督が溺愛するクリーチャーの世界を作る特殊造形の展示もある。