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『ミッドサマー』のフラワードレスやジブリ特別展も!オープン目前のアカデミー・ミュージアム、映画史を彩る展示物を徹底レポート

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『ミッドサマー』のフラワードレスやジブリ特別展も!オープン目前のアカデミー・ミュージアム、映画史を彩る展示物を徹底レポート

世界が絶賛する宮崎駿の世界観を堪能!

柿落としとなる特別展は、スタジオジブリの宮崎駿展。展示キュレーターのジェシカ・ニーベルは「宮崎駿作品が卓越したものであることは疑いようがありません。アニメーションのクオリティだけでなく、日本屈指の才能と技術を持つ人々の仕事をまとめあげるチームワークと、宮崎作品に込められた意図とアプローチにそれが現れています」と企画意図を説明する。

宮崎駿展の入り口となる小径は、ジブリの世界へ入り込むような感覚に
宮崎駿展の入り口となる小径は、ジブリの世界へ入り込むような感覚に[c] Joshua White, JWPictures

入り口にはジブリの森に入っていくような小径が作られ、中央にある芝生を模したスペースに寝転んで流れる雲を眺めることができる。広々とした展示スペースには、日本以外で世界初公開となる初期作品のスケッチやイラスト、絵コンテ、セル画などが並ぶ。展示の間をぬうように設置された大型スクリーンでは、『ルパン三世 カリオストロの城』(79)から『風の谷のナウシカ』(84)、『天空の城ラピュタ』(86)、『となりのトトロ』(88)、『千と千尋の神隠し』(01)、そして『風立ちぬ』(13)に至るまでのフィルモグラフィの映像が流れる。1枚1枚が繊細な筆致で描かれた絵コンテと、『もののけ姫』(97)の鬱蒼と茂る森林の背景や『崖の上のポニョ』(08)の海の情景などのコンセプトアートとともに映画の抜粋を観ていると、必ず映画の続きが観たくなる。隣接する劇場での映画上映とシームレスにつながるような見事な展示だ。展示内容を網羅した豪華な図録も発売される。

寝転んで流れる雲を眺めることができるという、芝生を模したスペース
寝転んで流れる雲を眺めることができるという、芝生を模したスペース[c] Joshua White, JWPictures


設立計画から開館まで長い時間を要し、不測の事態で何度も開館日が変更された映画専門ミュージアム。展示を一通り観ると、開館記者発表でハンクスが述べた言葉が真理をついていることがわかった。懐かしい映画の衣装や小道具、ポスターを目にするだけでも、その作品を観た映画館の情景まで思い出される。映画の都のロサンゼルスの映画館は、1年以上も扉を閉めるという前代未聞の難局にあった。それ以前からも、映像を鑑賞する選択肢が増え、劇場のあり方も議論されるようになっていた。アカデミー・ミュージアムの展示は、映画は物語を観るだけでなく、鑑賞体験そのものであることを思い出させる。パンデミックからの復活が期待されるこのタイミングで開館を迎えるのは、映画と映画館へのなによりの応援になるだろう。

取材・文/平井伊都子

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