藤井道人監督×横浜流星、互いに寄せる全幅の信頼「藤井組に『帰ってくる』感覚がある」

インタビュー

藤井道人監督×横浜流星、互いに寄せる全幅の信頼「藤井組に『帰ってくる』感覚がある」

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが、COVID-19(新型コロナウイルス)の影響を受けているクリエイター、制作スタッフ、俳優が継続的に創作活動に取り組めるように、短編映画製作プロジェクトを発足。「COVID-19をひっくり返す」という想いが込められたその映画の名は、『DIVOC-12』(10月1日公開)だ。藤井道人監督、上田慎一郎監督、三島有紀子監督がリーダーとなり、それぞれが公募を含む3人の映画監督たちとチームを結成。総勢12人の監督が、10分間でのオリジナル作品作りに挑む。

『DIVOC-12』は10月1日(金)公開
『DIVOC-12』は10月1日(金)公開[c]2021 Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.

そんななか、藤井監督が書き下ろした『名もなき一篇・アンナ』は、幻想的かつエモーショナルな作品となった。藤井監督の盟友、横浜流星演じる“男”とロン・モンロウ演じる謎の女性が、「記憶の旅」に出かけるという内容。北海道、京都、沖縄、東京で撮影を敢行し、映像派の藤井監督らしい風光明媚なシーンの数々で、観る者を陶酔させてくれる。

MOVIE WALKER PRESSでは、連続インタビューを実施。今回は、実の兄弟のように仲の良い藤井監督、横浜に本作に至るまでの歩みや、2人の挑戦について話を聞いた。

「『こんなにカッコいいのに端っこが好きなんだ』と思ったのが、横浜流星の第一印象」(藤井)

【写真を見る】役衣装で取材に応じた横浜流星。藤井監督との出会いからチャレンジングな撮影エピソードまで語る
【写真を見る】役衣装で取材に応じた横浜流星。藤井監督との出会いからチャレンジングな撮影エピソードまで語る撮影/野崎航正

――映画『青の帰り道』(18)やamazarashiの「未来になれなかったあの夜に」ミュージック・ビデオなど、これまでに多くの作品を一緒に作ってきたお2人ですが、初対面の際のエピソードを教えてください。

藤井「『全員、片想い』の打ち上げだったよね?」

横浜「そうそう」

藤井「僕がまだ全然売れていない時で、有名な俳優さんや先輩の監督が参加しているなか『居心地悪いな…帰りたいな』と末席に座っていたんです。そうしたら、同じようなやつが端っこに座っていて(笑)。『こんなにカッコいいのに端っこが好きなんだ』と思ったのが、18歳の横浜流星に対する第一印象です」

横浜「(笑)。僕は『あ、仲間がいる!』と思いました(笑)。すごく華々しい会で盛り上がっているなか、一人の監督が静かにしている。その時に『この人とは合うかもしれない』と感じました」

藤井「(笑)。その時はご挨拶だけだったのですが、舞台挨拶イベントが一緒で、舞台裏で『いまどんな作品やっているんですか』と話したりして、徐々に意気投合していきました」


横浜との意外な出会いのエピソードを語ってくれた
横浜との意外な出会いのエピソードを語ってくれた撮影/野崎航正

横浜「その次は『青の帰り道』のオーディションです。そこで選んでいただいて。あの時打ち上げに参加していなかったら、いまここにはいないんだなと思うと感慨深いです」

藤井「そこは打ち上げじゃなくてオーディションって言って!(笑)」

横浜「(笑)。でも、藤井さんとの出会いはそこからだから(笑)」

藤井「『青の帰り道』のオーディションに参加してくれるのが決まったのは、当日だったよね。確か、別の仕事が空いて急遽来てくれて。それも運命的なものを感じますね」

「ほかの作品を経てから藤井組に『帰ってくる』感覚がある」(横浜)

――藤井監督と横浜さんは、ものづくりにおいてどういう部分が「合う」と感じていますか?

藤井「頑固と言えば頑固なんだけど、自分なりの信念がちゃんとあるところですね。合うなと感じる人はそういないんですが、(横浜)流星とは音楽の趣味なども合うし、一緒にいてすごく居心地がいいです」

横浜「僕も同じです。藤井組に参加するたび、作品をよくするために一切妥協しない姿勢を目の当たりにして『もっともっと頑張らないとな』『また一緒にやりたい』と思えます。藤井さんが温かくて愛がある人なので、藤井組のみんなも引っ張られて、どんどん高め合っていく。仕事の面でもすごくリスペクトしています」

藤井監督の書き下ろし作品『名もなき一篇・アンナ』
藤井監督の書き下ろし作品『名もなき一篇・アンナ』[c]2021 Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.

藤井「流星は日本で1、2を争うほど忙しい俳優なのに、とにかく作品に尽くすすごさがあると思います。僕は現場でなにか言われても、違うと思ったら『それはやりたくない』と言っちゃうけど、流星は日々多くの現場で『監督がここを目指している』という要求を100で返そうとする。年齢こそ離れていますが、そうした作品至上主義は本当に尊敬しています」

横浜「いやいや…(恐縮)。藤井組はとにかく粘って『もう1回』と要求してくれるのですが、俳優としてはやっぱりうれしいし、心が動きます。僕にとっては、ほかの作品を経てから藤井組に『帰ってくる』感覚があるのですが、毎回1発目は『硬い』と言われるんです。それを聞くと『藤井組だな』と思います」

藤井「帰ってくる、と言ってくれるのはうれしいなあ」

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