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清水崇と堀未央奈が語り合う、ホラー映画だけが放つ魅力「堂々と“好き”といえる世の中になるべき!」

インタビュー 2021/10/5 21:03

清水崇と堀未央奈が語り合う、ホラー映画だけが放つ魅力「堂々と“好き”といえる世の中になるべき!」

日本初となる“ホラー”というジャンルに特化した一般公募のフィルムコンペティション「日本ホラー映画大賞」が1日より、作品の応募受付を開始した。プロ、アマ、年齢、性別、国籍を問わないこの企画は、令和の新しいホラー映像作家の発掘・支援を目指しており、大賞受賞者には2022年劇場公開を想定した、応募作品のリメイク版または完全オリジナル新作映画の監督をする権利が与えられるという、夢のようなビッグ・プロジェクトだ。

はたして、鬱屈した現代に未曾有の恐怖で風穴を空ける新時代のホラー・マスターは登場するのだろうか。そこで、選考委員長を務める「呪怨」シリーズ、『樹海村』(21)などの清水崇監督、選考委員の一人で、取材日にも『シャイニング』(80)の双子の少女をイメージしたというクラシカルなドレスで現れた、乃木坂46を今年3月に卒業した女優の堀未央奈を直撃!それぞれのホラー映画体験なども交えながら、この前代未聞のコンペの応募作に期待することを語ってもらった。

「男女問わず『ホラーが好き』って堂々と言える世の中になるべきだと思う」(清水)

日本では初めてとなる、ホラージャンルに特化したフィルムコンペ「日本ホラー映画大賞」
日本では初めてとなる、ホラージャンルに特化したフィルムコンペ「日本ホラー映画大賞」

――「日本ホラー映画大賞」の企画を最初に聞いた時はどう思われました?

清水「僕はおもしろいなと思いました。あれだけJホラーと言ってもてはやして、一時はホラー思考のない製作陣や監督にまで撮らせて山ほど量産していたのに、いままでこのような賞がなかったのが不思議なぐらいです」

堀「私もホラー映画が大好きなので、純粋にうれしかったです。ホラー映画が盛り上がるきっかけになると思うし、この企画でこれまで苦手だった方も興味を持ってくれたらいいですね」

――清水監督は選考委員長、堀さんは選考委員を務められるわけですが、そのオファーがあった時の率直な感想は?

清水「僕でいいのかな?って思いましたけど、この企画の発起人でもある小林剛プロデューサーは本当にホラーが好きな方ですからね。僕も色々な方とホラー映画を作っていますけど、プロデューサー本人がホラー好きというパターンはほぼないんです。でも小林さんはホラーを撮っているほかの監督とも仕事をしているから話が通じやすい。映画を1本も一緒に作ったことのない僕を選んでくれたのも新鮮でうれしかったので、お引き受けしました(笑)」

堀「私も最初にお話を聞いた時は、えっ、選考委員、嘘!って思いましたけど、ホラー映画が本当に好きだから、お仕事に繋がってうれしかったです。『ホラー映画が好き』とか『おもしろかったので観てください』といったことをずっと言い続けてきてよかったなって思いました」

清水「今回の選考委員にはいろいろな畑の方(編集部注:ほかに監督・声優のFROGMAN、ミュージシャンのBase Ball Bear小出祐介、映画ジャーナリストの宇野維正)がいらっしゃいますけど、そこに堀さんのような若い女性がいるのは喜ばしいことですよ。ホラー映画が好きな女性も実はいっぱいいるんです。むしろ男性より多いかも。でも、未だに女性が自ら言いづらいところがあるようで。最近は大分変わりましたけど、『ホラーや殺人事件の起きる映画が好き』って言うと、ヘンな人と思われるかも…みたいな風潮が宮崎勤の事件以来、根強かったですからね」

堀「私もすぐ、そういう風に言われます」

清水「でも、全然ヘンじゃないし、むしろヘンでいいじゃんって世の中になってきてるし。男女問わず『ホラーが好き』って堂々と言える世の中になるべきだと思うので、堀さんのように堂々と布教活動してくれる方がいるとありがたい。今回も重要な役割を担っていますよ」

堀「緊張してきました(笑)」

「私のなかで、ホラーはずっと観続けたい大事なジャンル」(堀)

ホラー愛が爆発!ゴシックな装いで現れた堀
ホラー愛が爆発!ゴシックな装いで現れた堀撮影/黒羽政士


――堀さんはなにがきっかけでホラー映画が好きになったんですか?

堀「家族が映画好きで、晩御飯の後にみんなで映画を観る習慣があったんですけど、そこでホラーを観ることが多かったんです。最初は、『怖い~!』って言いながら観ていましたね。でも、だんだん落ち着いて作品として観られるにようになったし、自分で調べて観るようにもなりました。そしたら、ホラーとひと口で言ってもすごくロマンチックなものから、めちゃくちゃファンキーでスカッとするもの、ジト~っとした陰湿なものまでバラエティに富んでいて。その時に“ホラーが怖い”なんて言ってる自分の悩みなんて小っちゃかったんだなって自然に思えたんですよね。いまではジブリ映画とホラー映画が、観続けたい大事な2大ジャンルになりました(笑)」

――堀さんは、2014年9月1日に放送された「乃木坂ってどこ?」の企画で、ホラー映画を100本観ることに挑戦されていましたが、清水監督は堀さんがご覧になった作品を見てみて、どう思われますか?

清水「(リストを眺めて)僕が観ていないもの、マニアックなものも結構ありますね」

堀「『人肉ラーメン』という作品はヤバかったです(笑)」

清水「ヤバいっていうのは、グロいってこと?」

堀「そうです。映画の最初から人肉を切っていて…」

清水「じゃあ、俺、ダメだ!残酷系や痛そうなのは苦手だから」

堀「そうなんですね(笑)」

清水「僕もレンタルビデオが盛り上がっていた高校生の時には、友達とそういう作品を借りてきて観ましたけど、ただ残虐なシーンが連続するだけの物語性がない作品には、『いやいや、こういうことじゃないな』と思って。そういう作品が好きな人ももちろんいるし、同じホラーでも人によって嗜好が違うから、ひと口にホラーといっても、実は幅広い。またどんな嗜好も他者から咎められるはずはないのだけど、個々に苦手なものもある。さっき堂々と言える社会に…とは言ったけど、ホラーの怖さって、それを受け止める側のお客さんや社会的意識も大きく作用するので、健全になりすぎてもおもしろみがなくなる部分があって、男女関係と一緒である種の“いかがわしさ”や“背徳感のようなエロティック”が伴ってこそのジャンルでもあるから、バランスは難しい。いまは寛容になってきて、作るのも観るのも便利になった分、昔のような“いかがわしさ”はホラー映画から相当薄れてしまった。とはいえ、このタイトル群はなかなか凄いですね」

――この100タイトルは、堀さん自身が選んだんですか?

堀「違います、違います。17歳の女の子がこの100タイトルを自分で選んだら怖いですよ!(笑)」

清水「でも、本当にいろいろな世界観のものが多岐にわたってラインナップされていますね。『怪奇!吸血人間スネーク』まで入っているし(笑)」

堀「私自身も、この企画がホラー好きを公言するきっかけになりました。ファンの方からも『堀ちゃんって、ホラー映画が好きなんだ』って言っていただけるようになりましたから」

――堀さんは日本ホラー映画大賞のオフィシャルコメントで、「“愛”のある作品をたくさん楽しんで観てきました」と言われていますが、具体的にどんな愛を感じたのか教えてください。

堀「う~ん、例えば『ヘル・レイザー』です。頭や顔に無数のピンを刺したメインキャラのピンヘッドのことは知っていたんですけど、観たことがなかったんです。でも、観てみたらアニメーションチックで意外に可愛い物語だったんですよね」

清水「ダークファンタジーっぽいよね」

堀「そうなんです!チクチク人間もあんな見た目だけど、怖い感じじゃなくて、どこかおもしろかったので、あれはちょっとうれしい発見でした」

――いまさらですが、清水監督がホラー映画にハマったきっかけは?

「怖いものが苦手だった」少年時代を告白した清水監督
「怖いものが苦手だった」少年時代を告白した清水監督撮影/黒羽政士

清水「もともとはホラーが苦手で、なんでわざわざ怖いものや気持ち悪いものを観るの?って思っていて。『トイレの花子さん』のような話でもダメなほど怖がりな子どもだったんですけど、夏休みに親戚や近所の人たちが集まった時には、子どもたちを集めて肝だめしの指揮を僕がやっていたんです。『あそこの田んぼのお墓まで二人一組で行って、行った証拠にそこにあるお札を持って帰ってこい』とか言って。でも、僕は命令するだけで行かないっていうね(笑)」

堀「ひどい!(笑)」

清水「その怖がらせる仕掛けを考えたり、作るのが楽しかったんです。だから、いまと変わらないことをもうやっていたんですよね」

堀「もう、そのころから(笑)」

清水「中学生の時ですね。しかもそのころはレンタルビデオブームだったので、海外のホラーが山ほど日本に入ってきていて、『死霊の盆踊り』とか、原題と全然違う邦題でビデオを出せば当たる、儲かる時代。そのころに、堀さんのようなホラー好きな友だちから『映画好きなくせに、ホラーを観ないのは勿体ない』と言われて、その友だちの家で顔を覆った指と指の間から観たんですけど、そのうちにだんだん慣れて、楽しめるようになったんです」

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