清水崇と堀未央奈が語り合う、ホラー映画だけが放つ魅力「堂々と“好き”といえる世の中になるべき!」 - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
清水崇と堀未央奈が語り合う、ホラー映画だけが放つ魅力「堂々と“好き”といえる世の中になるべき!」

インタビュー

清水崇と堀未央奈が語り合う、ホラー映画だけが放つ魅力「堂々と“好き”といえる世の中になるべき!」

「『呪怨』には、怖がりの僕が日常から想像した恐怖をすべて投入しました」(清水)

――そんなお2人が、いままで観てきて、一番怖かったホラー映画はなんですか?

清水「一番って難しいんですけど、怖さで言うと、僕は野村芳太郎監督の『鬼畜』になっちゃいますね。いきなりホラーじゃないですが」

堀「私は『呪怨』ですね。作られた清水監督が横にいらっしゃるので申し訳ないんですけど、トラウマになっていて観返せないんです…」

――『呪怨』はビデオ版からハリウッド版まで、清水監督の作品だけでもいくつもありますが、どの『呪怨』がトラウマになっているんですか?

堀「たぶん何作品か観たんですけど、どの『呪怨』かも覚えていないぐらい、怖かったシーンをポイント、ポイントで覚えていて」

清水「そういう“いつか見たアレ”的なのが、一番怖いんですよね」

堀「そうなんですよ!なんか、暗い一軒家の1階のドアを開けようとした時に、ドアの下から女の人がバーッと出てきたりして…」

清水「どれだろう?でも、さっきチラッと聞いたら、堀さんは劇場版の『呪怨2』も観てくださってるみたいですね」

堀「あの、ウィッグのシーンがある作品ですよね?」

清水「そう。ヘアメイクさんのウィッグがズズズズッて近づいてくるのが『2』なので、たぶん何本か観ているんでしょうね。でも、堀さんがトラウマになる感覚はよく分かります。子どものころ、怖い話で眠れなくなっちゃった時に、想像するのをやめようって思うと、今度は自分の家の壁や天井のシミが気になりだすんですよ。しかも、弟も妹ももう寝ちゃっている。ヤバい!どうしよう?僕一人しか起きてないって思っただけで、どんどん怖くなっていくんです」

堀「めっちゃ分かります!」

清水「夜中に、階段を降りて、廊下の突き当りにあるトイレに行くのも怖いんですよね」

堀「うんうん」

清水「そんな感じで、現実の世界でも想像が働いていったんですけど、そのころに伽耶子や俊雄のような霊が布団のなかから出てくる、『呪怨』の描写はイメージしていたんです」

堀「『呪怨』って、そういう日常の怖さじゃないですか!それこそ、ウィッグはいまも楽屋や撮影現場にあるから、見ると一瞬『ウワ~!』ってなっちゃいます(笑)」

清水「『呪怨』には、怖がりの僕が日常から想像した恐怖をすべて入れたので、それがよかったんでしょうね」

「ホラー映画の恐怖描写は、斬新すぎると怖くない」(堀)

――『犬鳴村』(19)には、そういった清水監督の“幽霊テクニック”が詰め込まれていましたね。

清水「連続しすぎだろうっていうぐらい詰め込んでいて、ツッコミどころもいっぱいです。車のシーンでは、これ以上乗れないっていうぐらい幽霊を入れて満席にしましたから(笑)」

――そういうアイデアはいつ、どこから生まれるんですか?

清水「ほかの監督の映画を観ている時に“つまんないな。僕だったらこうするのにな、あっ、これホラーに使える!”って閃くこともあるし、お笑い番組を観ている時に“いま笑っているけど、裏を返せば、これは怖いよな”って気づくこともある。誰か話し相手がいて、その人に物語などを伝えている時に出てくることもあるけれど、僕がだいたいアイデアを出して、脚本家がそれを無理なく繋いでいってくれるパターンが多いですね」

――同じことを繰り返していたら飽きられちゃいますが、かといって新しいアイデアを出し続けるのも大変ですよね。

清水「大変ですね。だから、違ったものを自分のなかにインプットしないといけないし、そのために若いクリエイターの人たちとの交流の機会も持つようにしています。同世代だけでは生まれないアイデアもありますから」

堀「ただ、斬新すぎてもつまらない場合もありますよね」

清水「あるある」

堀「セイウチ人間というのが出てくる作品もありましたね。ジョニー・デップが娘のリリー=ローズ・デップと共演した『Mr.タスク』という映画では、人間がセイウチになるんですけど、そこまで行っちゃうと『ちょっとついていけないな』と思いました」

清水「セイウチ人間?いやいや、詳しすぎでしょ(笑)。俺、その映画知らないよ!」

堀は清水監督に勝るとも劣らない、マニアックな知識を披露した
堀は清水監督に勝るとも劣らない、マニアックな知識を披露した撮影/黒羽政士


――そういうレアな作品はどうやって探すんですか?

堀「そういうのが好きな友だちがいて、『セイウチ人間が出てくる映画、知ってる?』って教えてくれるんです(笑)」

清水「やっぱ、若い世代の情報量の豊富さには敵わないな~(笑)」

堀「周りにはけっこうホラーが好きな人が多いし、私も仲よくなる前に『ホラー、好き?』って聞くんです。それで『ホラー、好き』って言った子とこう(握手のポーズ)して、じゃあ、一緒に観に行こうってなることが多いですね」

清水「それで途端に距離が縮まるんだね(笑)」

堀「すごい縮まります」

関連作品