リドリー・スコットが描く命懸けの裁判『最後の決闘裁判』や、シリーズの人気キャラ誕生秘話に迫る『G.I.ジョー』など、週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、名匠リドリー・スコットがマット・デイモン&アダム・ドライバーを主演に迎えて、誇りと命を懸けた裁判に挑む歴史ミステリー、かわいいけどポンコツなロボットと孤独な少年が、本当の友情を探して奔走するアドベンチャー、「G.I.ジョー」シリーズの人気キャラクターの誕生の秘密が明らかになるアクション大作のパワフルな3本!
「映画らしい」見ごたえが全編に充満…『最後の決闘裁判』(公開中)
真実の決着をつけるために、最後は当事者同士が血みどろの決闘をはたす…。騎士の妻が、その騎士の友人である宮廷の家臣から暴行を受けた。騎士は国王の前で友人を訴えるが、裁判でのそれぞれの証言から見えてきた真実とは?14世紀フランスでの実話を、巨匠リドリー・スコットが荘厳なビジュアルで映画化。要所にはリドリーらしい、激しいスペクタクルも挿入される。騎士、友人、そして騎士の妻という3つの視点で展開するので、最初は謎めいていた事件の真相が、じわじわ明らかになる作劇。観ているこちらも中盤あたりからドラマの渦に呑み込まれる感覚だ。各パートで同じシーンが描かれても、その視点によって俳優の演技も微妙に違っていたり、カメラの向きで印象が変わったりと高難度の演出にうなる。14世紀の物語なのに事件の真相をリアルに考えさせられるのは、じつはテーマが「いまっぽい」ことにほかならない。クライマックスの怒涛の盛り上がりといい、「映画らしい」見ごたえが全編に充満している。(映画ライター・斉藤博昭)
アニメさながらの画作りなど、しびれるビジュアルが目白押し…『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(公開中)
アクション大作「G.I.ジョー」シリーズで、いぶし銀のような魅力を放っていた忍者スネークアイズ。日本が舞台の本作は、彼の素顔を描いたシリーズ番外編だ。父の仇を討つため裏社会で戦いに明け暮れていたスネークアイズは、その腕を見込まれ日本の秘密忍者組織“嵐影”へと招かれる。ストーリーはシンプル&ベタだが、跡目争いを軸にしたドラマチックな展開は問答無用で押しまくる「G.I.ジョー」の中では異色。ハリウッド式ニッポンの光景もエンタメ作としては上等といえる。もちろん見どころはアクション。冒頭の地下格闘戦から、刀を使った集団戦、バイクと車の車上戦、スペクタクルな総力戦まで激しい見せ場の連続だ。「るろうに剣心」シリーズの谷垣健治が第二班監督としてアクションシーンを担当。縦、横、斜めと多彩な動線、自在自由なカメラワーク、奥行き感を意識したアニメさながらの画作りなど、全編しびれるビジュアルが目白押し。かっこよさに対する容赦なさに圧倒される痛快アクション映画が完成した。(映画ライター・神武団四郎)
ストレートなメッセージは、現代人の胸にも刺さるはず…『ロン 僕のポンコツ・ボット』(公開中)
ネット、写真、通話、TV、ゲーム、音楽などあらゆるデジタル機能に加え、乗り物としても使用可、さらに持ち主と趣味嗜好が同じ友達も見つけてくれる最新式ロボット型デバイスが登場した世界を舞台に、友だちのいない少年バーニーと、不良品ロボット“ロン”の凸凹コンビが“本当の友情”を探していく。ロボットが出てくる作品といえば、『ウォーリー』(08)や『ベイマックス』(14)を思いだすけれど、今回のロンはめちゃくちゃリアル!近い将来、こういうミニロボットが出てきてもまったく不思議じゃないし、販売されたら絶対ほしい~と購買意欲をかき立てられるほど魅力的なハイテク・アイテムとして描かれている。ロンの白くてコロンとしたフォルムや大きな黒目が、どこかベイマックスを彷彿とさせるのも親近感がわく。一方、舞台が現実世界と地続きであるだけに、ソーシャルメディアにどっぷりつかっている少年少女たちの悩みやストレス、プレッシャーも生々しい。人間関係の絆を築くために大切なものはなにか?そんなストレートなメッセージは、SNSに疲れた現代人の胸にも刺さるはず。(映画ライター・石塚圭子)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/サンクレイオ翼