FINALもバッチ来い!映画「土竜の唄」シリーズの重要キャラを原作比較で総ざらい
<極道サイド>
日浦匡也(ひうら まさや)/堤真一
元阿湖義組若頭、現在は日浦組組長で通称「クレイジーパピヨン」。いつも蝶柄の服を着ており、背中にも蝶の刺青を入れている。麻薬を嫌い、昔ながらの義侠心あふれる人物。飄々として見えるが、極道のなかでも最強といえる強さを持っている。また、「おもしろいこと」が大好きで、そのおもしろさゆえに玲二と義兄弟の契りを交わしてからは、玲二にとって最も心強い味方となる。
1作目では、敵対する蜂ノ巣会の襲撃から玲二をかばい両足を失うなど、仲間思いなところを見せた日浦。兄弟として様々な困難を共に乗り越えてきた玲二と日浦だが、『FINAL』となる本作では、二人の関係もファイナルになるのか?
轟周宝(とどろき しゅうほう)/岩城滉一
関東一円を勢力圏に持つ日本一凶暴なヤクザ組織、数寄矢会四代目会長で、玲二が狙う最終ターゲット。薬物の売買を取り仕切っているとの嫌疑がかけられている。1作目で玲二が初めて彼に会った際、玲二が放った警察官としての殺気を背中で感じ、瞬時に殴りかかるなど、ただ者ではないことを印象づけた。
普段は穏やかで物腰の柔らかい雰囲気だが、いざ自分の身を守るためならば周囲の人間を切り捨てることができる冷徹な男である。長きにわたる玲二との戦いの行方に期待したい!
轟烈雄(とどろき れお)/鈴木亮平
劇場版では最後にして初登場。轟周宝のアメリカ帰りの息子であり、数寄矢会の次期会長候補とされている。父の跡を継ぐために幼い頃から厳しい教育を受け、多くの格闘技を極めるなど並々ならぬ努力を重ねてきた。
世界各国のマフィアから悪の帝王学を学んだという百戦錬磨の百獣の王。数寄矢会をさらに大きくするという野望を抱く彼が、最後に玲二の行く手を阻む最凶の存在に。『孤狼の血 LEVEL2』(21)でもヤクザ役で強烈な存在感を放った鈴木が、本作で強敵らしい猛々しさで玲二の前に立ちはだかる。
猫沢一誠(ねこざわ いっせい)/岡村隆史
関西を拠点とし、関東を除く本州全土に勢力を伸ばす日本最大の暴力団、蜂ノ巣会の下部組織、血引一家の若頭補佐。原作を忠実に再現した、禿頭と山切りにカットしたダイヤモンドの差し歯というインパクトあるビジュアルは、1作目のみでの登場にもかかわらず鮮烈な印象を与えた。
関東進出を命じられた際に激しいバトルを繰り広げた玲二のことを目の仇にしている。それ以来の登場となる猫沢が、本作では玲二の敵となるか味方となるか、そこにも注目したい。
胡蜂(フーフォン)/菜々緒
チャーニーズマフィア仙骨竜のクールビューティーな女殺し屋。ある意味最も観客の記憶に残っているのはこの胡蜂ではないだろうか。2作目で初登場となった彼女は、偽名を使ってホステスとなり轟周宝の命を狙った。長い脚から繰り出される美しい蹴り技と電撃ムチで相手を圧倒する武術の達人で、轟をあと一息のところまで追い詰めるかなりのツワモノ。
本作では、かつて“顔面スッポン”をはじめ散々な目に遭わされた玲二への復讐を伺っている。任務遂行に燃える彼に、胡蜂はどう関わってくるのか?
バカでスケベだけど、正義感が強くてまっすぐな愛すべき主人公の玲二。そんな彼を取り巻く、一癖も二癖もある強烈なキャラクターたち。警察サイドも、極道サイドも、敵味方にかかわらず、みんな妙に人間くさくて憎めないところがあるのが本シリーズの大きな魅力だ。おなじみの面々から新キャラまで、彼ら全員の運命の行方を見届けてほしい。
文/石塚圭子