『DUNE/デューン』出演のチャン・チェンが語る“台湾3大巨匠”との思い出。是枝監督とカンヌ以来のトークが実現
「CDを聴きながら役をイメージする」
是枝「チャン・チェンさんは、ウォン・カーウァイ監督の映画も何度も経験されていると思います。よく話に聞くのは、当日までなにがあるのか、現場に行ってみないとわからないということ。とても新鮮で刺激的な経験になる方と、あまりそう思わない方に分かれると思いますが、チャン・チェンさんはどのように感じられましたか?」
チャン「私がカーウァイ監督の作品に初めて参加したのは『ブエノスアイレス』で、私がアルゼンチンに行って参加したのは撮影が始まって4ヶ月から5ヶ月ぐらい経ってのことでした。現地に到着して監督とお会いすると、1枚のCDを渡されました。聴いてみろと言われ、役柄について教えてもらいました。そのCDを聴きながら役をイメージするためです。それまでエドワード・ヤン監督としか仕事をしていなかったので、このような監督に出会ったのは初めてでした。ヤン監督は脚本から入り、そのなかにある台詞を一切変えてはいけないスタイルで、あらかじめ決められているものを俳優が理解していくのです。なので、カーウァイ監督のように自分でキャラクターを想像しながら作っていくことは初めてで、とても慣れないものでした。
カーウァイ監督と長くお仕事をしていると、だんだん彼の仕事のテンポが好きになっていきます。彼は役者に対して不必要なことはさせないし、惑わせるようなこともしない。役者の状態を常に理解しながら的確に役者を使っていく監督という印象です。そして現場でなにが起こるかわからない、自由なおもしろさもあります。私は是枝監督とまだお仕事をしたことがないのですが、監督はどのような演出をされるのでしょうか?」
是枝「僕は意外と役者に合わせるタイプなんです。その人がどういうアプローチを好むだろうかとか、どちらの方がより良いお芝居を引き出せるだろうか観察して、情報をたくさん与える時もあれば、現場で一緒に探していくときもあります。意外と僕には型がないものですから、(チャン・チェンさんに)合わせますよ(笑)」