『007は二度死ぬ』『キル・ビル』『燃えよNINJA』に「G.I.ジョー」まで…進化を続ける欧米エンタメのニンジャ・ムービー
ハードなアクションで魅せる、進化を遂げたニンジャ映画
そんな中でも異彩を放っているのが『ミュータント・タートルズ』(90)だ。人気コミックを映画化した本作は、下水道で暮らす言葉をしゃべるカメたちが、日本刀を手に邪悪な組織と戦う特撮系のヒーローもの。香港映画で活躍したブランディ・ユエンが武術指導を担当し、タートルたちは着ぐるみとは思えないキレのよいアクションを見せつけた。本作は2014年に『ミュータント・タートルズ』(14)としてリメイク。今作のタートルたちはCGによるダイナミックなアクションを見せていた。
もう一つの変わり種が『キル・ビル』(03・04)。監督のクエンティン・タランティーノは、敬愛するアクションスター千葉真一をその代表作「服部半蔵 影の軍団」シリーズの服部半蔵役で起用した。現代を舞台にした作品だが、忍者という設定どころか同一人物として登場させる時空を超えた発想はまさにニンジャ映画的である。
2009年、ウォシャウスキー姉妹が製作した『ニンジャ・アサシン』が公開された。Rain(ピ)主演の本作は、暗殺組織から抜けた殺し屋の死闘を描いたバイオレンスアクション。驚異の身体能力や超時代的世界観などニンジャ映画のテイストを踏襲しつつ、説得力あるアクション&ビジュアルで一級のエンターテインメントに仕立てた力作だ。ニンジャをアジアで発生した武闘派組織とした設定は、日本のカルチャーに心酔するウォシャウスキーの「忍者とは別もの」というこだわりだろう。
また同年には、後に『ドクター・ストレンジ』(16)や『イップ・マン 完結』(19)で大暴れするアクション俳優スコット・アドキンス主演の『NINJA』も公開されている。甲賀の血を引くニンジャ一門から破門された弟子が、代々伝わる家宝の忍具を奪おうとする物語。ヒロインに「牙狼〈GARO〉」シリーズで切れ味鋭いアクションを見せた肘井美佳、破門された宿敵に伊原剛志と豪華な布陣でアクションも見ごたえがあった。ケイン・コスギを敵役に迎えた続編『ニンジャ・アベンジャーズ』(13)はさらにアクション&バイオレンスが大増量。パチものくさい邦題とは裏腹なアクション巨編になっている。
さらにこの年にはシリーズ第1弾『G.I.ジョー』も公開。スネークアイズとストームシャドーの確執が大きなウェイトを占める本作は、激しいソードアクションに加え、東京の嵐影寺で修行を積む彼らの少年時代も描かれた。西洋人の弟弟子が日本人の兄弟子を乗り越えていく、ニンジャ映画の定番シーンが踏襲されているのも嬉しい限り。続く『G.I.ジョー バック2リベンジ』(13)では、彼らが再び共闘する怒濤の展開に!2009年は80年代初頭に続く、第2のニンジャイヤーだったのだ。
安易な低予算作品が主流だったニンジャ映画のイメージは『ニンジャ・アサシン』や『G.I.ジョー』によって次の段階へと進化を遂げた。そして『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』はこのジャンルをさらなる高みに押し上げた。果たして今後どんなニンジャ映画が出てくるのか、そして新たな「G.I.ジョー」シリーズではスネークアイズがどんな活躍を見せるのか期待したい。
文/神武団四郎