最新作で12作目!スラッシャーホラーの傑作『ハロウィン』のややこしすぎる分派の歴史
スラッシャー映画の金字塔として燦然と輝く『ハロウィン』。1978年の第1作以降、多くの作品が作られてきたことが、その人気の高さを証明しているだろう。現在、公開中の最新作『ハロウィン KILLS』で、実にフランチャイズ12作目となるが、作品数の多さゆえにどの作品がどの作品につながっているのか、複雑化しているのが困るところ。そこで今回は「ハロウィン」シリーズの分派の歴史を解説していきたい。
世代を超えて血縁に固執するマイケルが描かれた初代ルート
1978年に巨匠ジョン・カーペンター監督によって生みだされた1作目『ハロウィン』は、6歳の少年マイケル・マイヤーズが、姉のジュディスを包丁で殺す衝撃的な場面から幕を開ける。それから15年後、大人になったマイケルが精神病棟から逃亡し、恐怖のブギーマンとしてハドンフィールドの街で女子高生のローリー(ジェイミー・リー・カーティス)らを襲う姿が描かれた。
その続編となるのが、『ブギーマン』(82)だ(日本公開時のタイトル。原題は『ハロウィンII』)。前作のラストで銃弾を浴びまくりベランダから転落しながらも、行方をくらましたマイケル。一方、ローリーは病院に担ぎ込まれることに。そんな彼女のもとにまたもやマイケルが姿を現し…と、1作目の直後のストーリーが語られていく。ローリーが実はマイケルの妹だったために執拗に狙われる、という理由が提示されたのもこの作品だった。
そのまま『ハロウィンIII』(82、日本劇場未公開)へと続いていくのかと思いきや、まさかの1作飛ばしての続編となった『ハロウィン4 ブギーマン復活』(88)では、タイトル通り、マイケル(&一緒に燃えたはずのルーミス医師)が再登場。ローリーは出てこず、恐怖の矛先はローリーの遺児である少女ジェイミーに向けられることになる。
さらに5作目『ハロウィン5 ブギーマン逆襲』(89)では、前作でマイケルに操られたショックから失語症となり入院しているジェイミーの前に再びマイケルがカムバック。その6年後を描く『ハロウィン6 最後の戦い』(95)では、マイケルに心酔するカルト集団に捕まっていたジェイミーが子どもを出産するところから始まると同時に、ローリーの義父の弟であるジョン・ストロード家の面々にもマイケルは目をつけていく。
ルーミス医師を演じていたドナルド・プレザンスが1995年に亡くなったこともあってか、『ハロウィン6』で終了となったこのルート。シリーズを通して血縁に固執するマイケルを軸にしつつ、時にはテレパシーやオカルト的要素が盛り込まれたり、『ハロウィン6』ではよく考えれば一切血縁関係のないストロード家が狙われたり、長く続いているがゆえの迷走もある愛嬌たっぷりの作品だった。
ちなみに『ハロウィンIII』は番外編で、ハロウィンマスクメーカーの社長が、マスクを通じて巨悪を働こうとするというトリッキーなストーリーが展開。マイケルが登場しなかったため、評判も思わしくなく『ハロウィン4』で元の路線へと戻されることになった。
ローリーを復活させ、2作目から続く物語を新たに構築するも…
そんな『ハロウィンIII』以降をなかったことにし、途中から登場しなくなったローリーを復活させたのが、2作目からの続編として新たに作られた『ハロウィンH20』(98)のルートだ。
20年前の惨劇を生き延びたローリーは、ケリー・テイトと名前を変えて、全寮制私立高校の教頭となっていた。事件のトラウマから一時期アル中となり、ハロウィンの時期になると神経質で過保護な彼女に、高校生の息子ジョンはうんざり。ハロウィンの夜も、ジョンには友達と泊まりで遊びに行く計画があったが、ローリーがそれを許さず、代わりに校舎でパーティーを開くことに。だが、そこにマイケルが現れ、ローリーは再び彼と対峙することになる。
そして、『ハロウィンH20』で首チョンパされてマイケルが死んだかと思いきや、それは人違いだったという強引な話運びによって成立している続編『ハロウィン レザレクション』(02)。前作の事件のショックから精神病院に入院していたローリー。しかし、病気はマイケルをおびき寄せて殺すための嘘であり、彼と相見えることになるのだが…。
本作のメインは、マイケルの生家でネット中継をするお調子乗りな若者を襲う恐怖であり、ローリーが登場するのは冒頭のみ。前作から無理やりつなげた割にはなんともあっさり殺されてしまう衝撃的な1作で、ローリーが死んだこともあってか、このルートは『レザレクション』で終わりを遂げた。