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現在の日本映画の勢いはここから始まった!山下敦弘らが語る“1990年代日本映画”のエネルギーと強さ

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現在の日本映画の勢いはここから始まった!山下敦弘らが語る“1990年代日本映画”のエネルギーと強さ


続いて「インディペンデント映画が躍動した90年代」と題された第2部に登壇したのは、ライターで編集者の門間雄介と、『リンダ リンダ リンダ』(05)や『オーバー・フェンス』(16)で知られる山下敦弘監督の2名。それぞれ1990年代の日本映画で印象深い作品として、門間は三池崇史監督の『DEAD OR ALIVE/犯罪者』(99)を、山下は周防正行監督の『シコふんじゃった。』(92)を挙げた上でトークを進めていく。

「竹中直人さんがすごく好きで、竹中さんを入り口に追いかけていくと石井隆監督の作品に辿り着いたり、どんどん広がっていきました」と語る山下は、竹中がメガホンをとった『無能の人』(91)がきっかけでつげ義春の作品に触れ、自身の監督作となる『リアリズムの宿』(04) につながったことを明かす。そして話題は、俳優から監督業に進出した竹中をはじめ、この時期に数多く登場した異業種出身の監督たちへ。

印象深い90年代邦画として『シコふんじゃった。』を挙げた山下敦弘監督
印象深い90年代邦画として『シコふんじゃった。』を挙げた山下敦弘監督


「CMから映画に移った市川準監督も、日本映画って本当におもしろいんだなと思わせてくれた監督のひとり。この頃は異業種の人たちが映画を撮るのが徐々に当たり前になって驚かなくなった時代でしたね」としみじみ語る山下。一方で門間も「僕が観客として当時の日本映画に感じていたのは、学生からすると古臭くて近寄り難いウェットさがあるということ。カッコ悪いと思うこともあって、そんな閉塞感を打ち破ってくれたのが異業種の監督でしたね」と振り返った。

ほかにも三池監督に代表されるVシネマ作品や、1990年代前半の日本のインディペンデント映画を語る上で欠かすことができない“アルゴ・プロジェクト”の存在。さらに岩井俊二や是枝裕和、橋口亮輔らの名前が「キネマ旬報ベスト・テン」にずらりと並んだ1995年の出来事や、当時ミニシアターに映画を観に行ったときのエピソードなど、ざっくばらんに語っていく2人。

第2部ではざっくばらんにインディペンデント映画の勢いを語り合う!
第2部ではざっくばらんにインディペンデント映画の勢いを語り合う!

最後に山下は「いまはコンテンツも増えて、尺も関係なくなってきたけれど、テーマとか撮る意味ばっかりを探している映画が最近多いように感じています。ある種の乱暴さとか、無意識さが1990年代の邦画にはあった。三池さんの作品とかを観ていると、それが意外と世界に通じるし強いんだなと思います」と、映画業界全体に勢いがあった90年代に思いを馳せながら、現代へとつながるヒントを模索していた。

取材・文/久保田 和馬


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