『マリグナント 狂暴な悪夢』にも影響をもたらした!ジェームズ・ワンが愛する怖〜い映画&監督たち
スピルバーグ、フリードキン…巨匠たちの名作からも影響を受けまくり
そのほかの巨匠の作品からも大きな影響を受けており、過去にはスティーヴン・スピルバーグの『ジョーズ』(75)について、「カメラワーク、編集、音楽、演出など、サスペンス映画を作るということについて教えてくれた」とコメント。また、スピルバーグが製作を務めたトビー・フーパーの『ポルターガイスト』(82)もお気に入りに挙げている1作で、「7歳の少年の時にこの映画を観て以来、ピエロと人形を恐れてきました」との言葉を残している。この2作を「(しかたなく絞るなら)人生のホラー映画ベスト2」と言うこともあった。
「これまでに作られたなかで最も恐ろしい映画の1つとして挙げるのはお決まりのようだが、本当にそうなんだ!」と熱く語ったのが、ウィリアム・フリードキンの傑作『エクソシスト』(73)。『マリグナント 狂暴な悪夢』で次々に人を襲うガブリエルの姿は、悪魔に取り憑かれたリーガンを彷彿とさせる。
また、ハーク・ハーヴェイの『恐怖の足跡』(62)は、白塗りの不気味な幽霊など『インシディアス』(10)のインスピレーション元となった1作。「ソファで半分眠っている間に深夜のテレビで見られるような映画」と評しており、実際に『インシディアス 第2章』(13)では、うたた寝をする人物が見ていたテレビに『恐怖の足跡』を流しており、深い愛を示していた。
さらに、シリーズ2作目となる『死霊館 エンフィールド事件』を作るうえで参考にしたというオールタイム・ベストの一つがジェームズ・キャメロンの『エイリアン2』(86)。本作について「『エイリアン2』はとにかくユニーク。単体の映画としても十分におもしろい」と語っている。このように『マリグナント 狂暴な悪夢』だけでなく、過去にも自分の好きな映画の要素を盛り込みながら、新しい作品を作り上げてきた。
清水崇監督を出待ち?ジャパニーズホラーも大好物!
そんなワンは、『死霊館 エンフィールド事件』のタイミングで受けたインタビューに、好きなホラー映画として中田秀夫監督の『リング』(98)をピックアップしており、ジャパニーズホラーの大ファンとしても知られている。
たとえば、製作を務めた『アナベル 死霊博物館』(19)では、眠っている少女が布団をめくるとそこにアナベル人形が…といった恐怖シーンが登場する。ホラーファンなら“布団の中から顔”ときたら『呪怨』(02)を思い浮かべると思うが、実は『呪怨』の清水崇監督は、LAにて無名時代のワンに出待ちをされた経験があるのだそう。筋金入りのホラーオタクなのだ。
自分の好きな作品から学び、そのテイストを盛り込みつつもオリジナリティあふれる作品を生みだし、成功してきたジェームズ・ワン監督。『マリグナント 狂暴な悪夢』で彼の手腕と愛情をぜひ確認してほしい。
文/サンクレイオ翼