富田望生と『フラ・フラダンス』の“聖地”を巡礼!作品に込めた、故郷・福島県いわき市への想い
福島県いわき市にある「スパリゾートハワイアンズ」を舞台に、“フラ”を仕事に選んだ新人ダンサーたちの絆と成長を描いたオリジナル長編アニメーション映画『フラ・フラダンス』が公開中。本作で新人ダンサー・滝川蘭子の声を担当した富田望生は、まさにいわき市出身だという。筆者は11月中旬、東京を離れ故郷に向かった本人に同行。「スパリゾートハワイアンズ」で、フラダンサーたちに映画を届けるために特別試写会が行われたのだ。“聖地”ハワイアンズを共に歩き回るなかで、富田が本作へ託した、故郷への特別な想いが見えてきた。
新人フラガールたちの成長を、笑いあり涙ありで描く本作。福島県いわき市に暮らす高校生の夏凪日羽(声:福原遥)は、卒業後の進路に迷うなか、かつて姉の真理が務めていたスパリゾートハワイアンズのポスターを見かけ、衝動的にフラガールの採用試験に応募。フラ未経験でありながら採用されると、個性豊かな同期らと共にフラガールとしての道を歩みだし、失敗を繰り返しながら少しずつ成長していく。富田が演じたのは、パワフルな踊りと和やかな雰囲気でチームに活気をもたらす、日羽の同期である滝川蘭子だ。
「自分にオファーがいただけたこと以上に、『ハワイアンズが映画になる!』ということに感動しました」
久々にパーク内を歩くという富田は、にこやかに辺りを見回しながらハワイアンズと自身の想い出から話し始めた。「小さいころは年に3回ぐらい来ていたと思います。記憶にないんですけど、浮き輪に乗った自分がただプールにプカッと浮かんでいる写真を見せてもらったことがあります(笑)。私は小学生になってからも怖がりで、キッズ用の短いスライダーですら怖くて、ワンダーホルンという青いチューブのスライダーを滑りたいと1日乗り放題券を買ったのに受付終了間際まで挑戦する勇気がなくて、結局1回しか滑れなかったということも。それが9歳か10歳ぐらいの、震災前の最後の記憶ですね」と目を細める。
「それと私、冬に来て、外のプールに入るのがすごく好きなんですよ。足がどうにかなっちゃうぐらい冷たいプールに入ったあとに4、5人ぐらいで利用できる温かいジャクジーに入るのが好きで。冬なのに夏を感じられる室内のメインのパークと、冬を感じながらハワイアンズを感じられる外のパークがあって、いろいろな楽しみ方ができるところが、飽きない魅力の一つだと思います」。
幼い日に観ていたフラガールのパフォーマンスはいまでも鮮烈に覚えているという。「ショーの最後に、ステージでダンサーの皆さんと一緒に踊れる企画がありまして、踊り終わるとレイ(首飾り)がもらえたんです。私はそれが欲しくて、昼も夜も踊る日もあったし、来た時は毎回踊ってレイをもらうので、レイは自宅に何個もありました(笑)」。
ということは、富田もひょっとしてフラガールになりたかった?そう思って話を振ると、「なりたい、というよりも…言葉にするならば、憧れです。観客として、ファンとして、ダンサーのお姉さんたちは舞台の上にいてほしい憧れの方たちだったんです」と振り返り、「今回の『フラ・フラダンス』はもちろん、舞台の『フラガール』に出演したこともあって、いまはダンサーのみなさんがどんな気持ちでステージに立っているのか少しは分かりますけど、当時はそういう知識も経験もなかったので、とにかくパワーがスゴい、美しいお姉さんたちに圧倒されていたような気がします」と、ステージを見つめながら憧れを語る。
そんな彼女だからこそ、蘭子役のオファーに対しても、「ぜひぜひぜひ、やります、やります。やらないわけないじゃないですか!」と即答したそう。「でも、自分にオファーがいただけたということよりも、地元の人間としては『ハワイアンズが映画になっちゃうんだ!』という興奮の方がすごかった。なので、お話をいただいた時も自宅に帰ってすぐ、母親と祖父母に『ハワイアンズが映画になるらしいよ』ってすごい勢いで説明して。普段はあまり仕事の細かいことは話さないんですが、今回は知っている限りの情報をすべて、興奮しながらしゃべりましたね」。