社会復帰を目指す前科者たちと彼らを支える保護司を描く「前科者」の国立市ロケに迫る!
都心の公共施設や民間施設、映像事業者、地域の人々との協力によって、映画やテレビドラマなどの円滑なロケ撮影を様々な形でサポートすると共に、地域の活性化を図ることを目的に運営されている組織「東京ロケーションボックス」。その活動内容は多岐にわたり、都内自治体に置かれたフィルムコミッションとの連携や協力、サポートも行っている。今回は、国立市フィルムコミッションが支援した『前科者』(2022年1月28日公開)と、そのドラマ版「WOWOWオリジナルドラマ 前科者 - 新米保護司・阿川佳代 -」を紹介したい。
映像作品を通して東京の魅力を国内外に広く発信し、観光振興に努める東京ロケーションボックスでは、その活動の一環として、支援作品やロケ地登録の案内などを掲載した年4回の季刊紙「Tokyo Location Box Press」を発行。各自治体の観光案内窓口やフィルムコミッションをはじめ、映画やテレビの関係者、関連イベントの際にも配布されているチラシで、作品のファンにはたまらない貴重なロケ地情報が満載だ。21号となる11月30日発行の秋号では、今回ピックアップするドラマ「前科者」も紹介されている。
保護司として前科者たちに向き合う女性の物語
「前科者」は「ビッグコミックオリジナル」にて、2018年1月から連載が始まった香川まさひと、月島冬二による同名人気コミックが原作。「保護司(ほごし)」と呼ばれる国家公務員の女性が主人公で、前科者たちの更生と社会復帰を目指し、彼らと向き合い奮闘していく。
保護司を始めて3年の阿川佳代は、仕事にやりがいを感じ様々な“前科者”のために奔走している。彼女が担当している工藤誠というかつて殺人の罪を犯した男は、寡黙で真面目な働き者で、“更生”を絵に描いたような人物だ。彼が社会人として自立する日は近いと楽しみにしていた佳代だったが、ある日、工藤は忽然と姿を消し、警察から追われる身に…。時を同じくして、連続殺傷事件も発生する。事件の真相を知るため、工藤を捜す佳代。捜査が進むにつれ、彼女自身の壮絶な過去や、保護司という仕事を選んだ理由も明らかになっていく。
サスペンス仕立ての映画版に対し、WOWOWで放送中のドラマ版では、佳代が保護司の資格を獲得したばかりの時期が描かれる。彼女がひと癖もふた癖もある前科者たちに振り回されながら、成長していく職業ドラマになっている。
壮絶な過去を抱えながら保護司として働く佳代を有村架純が好演
佳代を演じるのは、『花束みたいな恋をした』(21)での好演も記憶に新しい有村架純。実は保護司は、国家公務員でありながら報酬は一切なく、あくまで民間人の奉仕精神だけで行われるボランティアで、佳代もコンビニのアルバイトをしながら職務に当たっている。有村も「この作品のお話をいただいた時、“保護司”がボランティアであることを初めて知りました」とコメントし、「私が演じる主人公は、保護司ではあるけれど複雑な思いを抱えながら存在意義を探している女性。その要素を内包しつつ正義のヒーローにならないように心掛け、距離感などは監督とその都度話し合いながら慎重に撮影を進めていきました」と佳代のキャラクターについても説明している。
ある理由から失踪してしまう工藤を『ヒメアノ〜ル』(16)で唯一無二の存在感を発揮した森田剛が、彼を追う若手刑事を磯村勇斗が演じるほか、若葉竜也、マキタスポーツ、石橋静河、北村有起哉、宇野祥平、リリー・フランキー、木村多江といった若手からベテランまで、幅広い世代の実力派をキャスティング。監督は、『二重生活』(16)で劇場映画デビューし、「あゝ、荒野」前篇&後篇でも高く評価された岸善幸。テレビのドキュメンタリー番組を担当した経験もあり、徹底した取材やリサーチによるリアリティある映像が特徴だ。
様々な理由から罪を犯し、更生して社会復帰を目指す前科者たち。彼らに向けられる社会の厳しい視線も生々しく映しだされ、それだけに、心身ともに傷つきながら保護司の仕事を全うしようとする佳代の姿が心に突き刺さる。“誰かを助ける”とはどういうことなのか、他者との関わり方について考えさせられる骨太な1本だ。
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