神尾楓珠と三浦獠太、『彼女が好きなものは』映画初主演&初出演でも気負わない2人の本音トーク
「演じながら、普通の幸せってどういう意味なんだろうとずっと考えていました」(神尾)
――セクシュアルマイノリティにまつわる物語ですが、高校生ならではの心の揺らぎも丁寧に描かれていました。一番心に刺さったシーンやメッセージについて教えてください。
三浦「僕は、小野が純に心ない言葉をぶつけるシーンです。それは、自分の経験とも照らし合わせてしまいましたが、すごく印象に残っています。楓珠くんに向かって、そんな言葉を吐きたくないなとも思いましたが、こういうことって自分の学生時代にもあったような気がしたから、僕は大いに共感できました」
神尾「確かに小野は、一番等身大のキャラクターなのかもしれない。ほかの登場人物は少し大人びているというか、達観している部分がありますから」
――神尾さんは、いかがですか?
神尾「僕は演じながら、普通の幸せってどういう意味なんだろう?とずっと考えていました。差別を見て見ぬふりをして通り抜けたいという心理もわかります。それこそあるシーンで『世界を簡単にしたくない』という台詞がありますが、なにも考えずに世界を簡単に考えることはできるし、できれば複雑にはしたくないのかもしれないけど、果たして本当にそれでいいのかなと改めて思いました。」
――確かにいろんな深いメッセージを受け取れる作品になっていますね。
三浦「現場からもたくさん得るものがありました。僕は映画の現場が初めてだったので、スタッフさん含めてみんなで一致団結してものづくりをする感覚も初めて知ることができました。映画デビュー作がそういう作品でよかったです。正直に言うと、現場ではまだ楽しいと思えるところまではいけなかったけど、ものすごく勉強になりました」
「楓珠くんが温かく包み込んでくれたので、僕はもう委ねるだけでした」(三浦)
――神尾さんの座長ぶりはいかがでしたか?
三浦「完璧でした!楓珠くんが温かく包み込んでくれたので、僕はもう委ねるだけでした」
神尾「それ、僕がさっき今井さんに対して言ったコメントと同じじゃない(笑)」
三浦「いや、本当にすばらしかったです」
神尾「いやいや。何度も一緒にやってるし。ドラマ『顔だけ先生』もそうですし、獠太とは2年連続で共演しているんです」
三浦「じゃあ来年も一緒でお願いします。次は僕が先生で、楓珠くんが生徒役で」
神尾「なんで先生と生徒になるの?(笑)。じゃあ、今度は獠太の主演作に僕を呼んでください」
三浦「じゃあ、それを企画しておいてください」
神尾「なんで僕が!?でも、またみんなで楽しくていい作品を作れたらいいなと思っています」
取材・文/山崎伸子