榎木淳弥の恋愛観はスパイダーマン!?「女の子が声をかけてくるのをクモの巣を張り巡らせて、ひたすら待ち…」
『スパイダーマン:ホームカミング』(17)、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(19)に続く、トム・ホランド主演のシリーズ最新作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(1月7日公開)。同作でもスパイダーマン/ピーター・パーカーの日本語吹替えを担当している声優、榎木淳弥に、長きにわたり演じてきた愛着あるキャラクターへの想い、最新作の見どころ、シリーズに欠かせないヒロインの魅力やアフレコの裏話などを語ってもらった。
「僕も割と軽い人間なので(笑)、トム・ホランドさんのピーター・パーカーは表現しやすい感覚があった」
インタビューはアフレコを終えたばかりのタイミングで行われた。「もう、随分長くスパイダーマン/ピーター・パーカー役を演じていますが、最新作は特によくしゃべったというのが率直な感想です。セリフの量がいままでに比べて多めだったし、展開もすごくスピーディで、アクションシーンも最も多かったのでは?という気がします。なかなか大変な収録でしたが、なんとか録り終えてホッとしているところです」。
過去のヴィランが集結することで話題となっている最新作。榎木が好きなヴィランは、『スパイダーマン2』(04)から参戦の“ドック・オク”ことドクター・オクトパスだという。「今回のスパイダーマンの衣装はスターク・インダストリーズ社製で、脚というか腕のようなものが装着されています。それがドック・オクのアームとちょうどいい対比になっていて、おもしろい画になっています」。
榎木にスパイダーマン/ピーターを演じると決まった当時のことを振り返ってもらった。「(この役が)初めて受けた洋画吹替えのオーディションでした。経験もないので正直、オーディションの手応えもあまりわからなかったのですが、演じていてなんとなく“しっくり”きていたので、決まった時はすごくうれしかったです。世界的に有名なヒーローを演じられるのはそれだけで光栄なことでしたから。トム・ホランドさん演じるスパイダーマンらしさを出せたらいいなという想いがありました」。
オーディションで感じた“しっくり”とは、具体的にどういうものだったのだろうか。「スパイダーマンには軽口をたたきながら戦うというイメージがあります。特に、トム・ホランドさんのピーター・パーカーはその印象が強かったです。僕も割と軽い人間なので(笑)、スッと入ってくるというか、表現しやすい感覚がありました。戦っている時も、相手を倒すというよりはからかったりする。そんなところが自分のなかで“しっくり”くる感じがしました」。
トム・ホランド版ピーター・パーカーの魅力は親近感だと説明する。「高校生ということもあるのですが、自分のことを優先してしまったり、まだまだヒーローになりきれていない、未熟な部分があります。ヒーローらしからぬ部分が、逆に身近に感じられて魅力になっていると思います」。
「親近感があるので、家でクモが出ても退治しなくなりました」
「スパイダーマン」という作品に参加して、榎木自身になにか変化はあったのだろうか。「家でクモが出ても退治しなくなりました(笑)。あまり殺生はしたくないタイプだったのですが、捕まえられない時に仕方なしに“パーン”ってやってしまうことも以前はありました。でも、『スパイダーマン』に参加するようになってからは、朝蜘蛛、夜蜘蛛など、殺しちゃいけない時間帯のクモだけでなく、どんな時も逃がす。親近感があるので、殺せなくなりました。それが一番の変化です」。
『スパイダーマン:ホームカミング』のアフレコ時には号泣しながら演じたという。「心を動かされて号泣したのは事実なのですが、“榎木はここで泣いたのか”という情報を与えてしまったのは、ちょっと作品を楽しむうえではよくなかったかな…と思う自分もいます。作品をフラットに観られなくなる方もいるんじゃないかなって。と言いつつも、やっぱり今回もすごくいいシーン、泣けるシーンはいっぱいあります」。
そんな、フラットに楽しめる範囲での今作の感想を尋ねると、「演じていて気持ちよかったのは戦闘中に飛び回るシーン。心が揺れたのは、ヒーローだけど普通に暮らしたいというピーターの心情で、前作で正体がバレてしまったピーターの気持ちがなんとなくわかる気がしました。僕は全然ヒーローでもないけれど、顔を出す仕事をしているので、理解できる部分もありました。やっぱり静かに暮らしたいですしね。特に今回は大悪人のように報道されている状態。僕でいえば、週刊誌にすっぱ抜かれたみたいなことかな…なんて想像したら相当キツイだろうなって。やましいことはなにもないのですが、そんなふうに重ねることもありました」と明かす。
前作で正体がバレてしまったピーターは、ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)にみんなの記憶から“スパイダーマン”を消すことを懇願する。榎木自身にも消したい記憶があるらしい。「幼稚園のお遊戯会での記憶です。僕、途中でおしっこを漏らしちゃって。みんなで円になってお遊戯をしたのですが、僕のおしっこをどんどん踏んでいくという状況に…。僕は幼稚園で結構モテていたのですが、お遊戯会を境にすっかり人気がなくなってしまいました。幼稚園の女の子たちのその記憶を消してほしいです(笑)。3~4歳のころの記憶なので、曖昧な部分もあるのですが、モテなくなったということだけはクリアに覚えています」。