“クマの家族愛”に思わず感情移入…『シチリアを征服したクマ王国の物語』のメッセージを親子の声から読み解く
日本の作品とは一線を画すアニメーション表現に感動
考えさせられるストーリーに加えて、本作の幻想的な唯一無二の世界観を大きく担っているのがアニメーションだからこそできる表現の仕方だ。日本のアニメとはひと味もふた味も異なるタッチの作画からは、多くの人が新たなアニメ映画体験を味わったようで、
「映像の色と音楽が魅力的でシアターアトラクションのようだった。愉快さとスリルがあってよかった」(10代・女性)
「日本のいま時のアニメとはひと味違うキャラクターで楽しかった」(60代・女性)
「テースト、画のタッチ、ストーリー、展開がおもしろかった、ワクワクした。メイドインジャパンのアニメとは違って、ヨーロッパさが見えた」(50代・男性)
「配色、登場人物の動きが日本と異なり、新鮮」(40代・女性)
といった多くのコメントが並んでいた。そのなかでも観客たちが注目していたのが、「動く絵本のようで、とてもきれい」(50代・女性)という感想からもわかるように独特の色彩とシンプルでかわいらしい素朴さを感じさせる絵のテイスト。
「絵のタッチ、色づかいがきれい」(50代・男性)
「森の色合いがすごくきれいだった」(30代・女性)
「絵本のようなやさしい絵柄がよかった」(30代・女性)
「キャラがかわいい。アニメーションならではのかわいさを感じました」(10歳・女子)
「シンプルな線で描かれているが、影によってとても立体的な動きになっていて興味深かった」(40代・女性)
これらのコメントに加えて、音楽も印象的だったという意見も多く「音楽がシーンごとにきれいで印象的だった」(10代・女性)、「画がきれいなのと、音に迫力があって観ていて楽しい」(40代・女性)といった言葉がアンケートには寄せられていた。
メッセージに共鳴した大切な人に薦めたいとの声が多数!
シンプルでわかりやすい物語ではありながらも、現代の社会に通じるような普遍的な問いもはらんだ物語、そしてアニメーションならではの映像のおもしろさも味わうことができ、大人から子どもまで誰もが楽しむことができる本作。そんな作品だからこそ「誰にお薦めしたいか?」と質問を投げかけてみた。すると子どもたちからは、
「とても心に残る映画だったよ、と学校の友だちに薦めたい」(10歳・男子)
「自分くらいのこれから社会を作る子どもに薦めたい。学ぶことが多く、とてもシンプルでわかりやすい」(14歳・男子)
同年代の子どもに見てほしいという声が多く、本作から学びを得たというコメントも。また大人たちからは子どもたちに薦めたいという人が多く、「欲深いことをすると自分に返る。正しいことをする大切さ、すごくわかりやすいストーリー」(60代・女性)、「子どもたちに薦めたい。キャラクターがかわいい、家族の絆が見どころです」(10代・女性)などの回答が並んでいた。そして一番多かったのが、
「子どものいる友人に薦めたい。親子で観てほしい親子愛がある作品。絵もかわいくて惹かれる」(20代・女性)
「子どもたちと子育て中の人たちに薦めたい。親子の互いに思いやる愛情深さと正直に生きることの大切さ」(40代・女性)
「ママ友に薦めたい。みんなそれぞれ”いるべき場所がある”って老クマが言うんだけど、映画観たら納得するよ」(40代・女性)
など、クマの親子の愛情を題材とした作品だけに、親子、家族で観てほしいとの言葉。作品のメッセージが多くの人の心を動かしたようだ。
違う時代でも、異なる言語でも、クマと人間の関係を通して、様々なメッセージを投げかけてくる『シチリアを征服したクマ王国の物語』、ぜひ劇場に足を運んで、鑑賞してみてはいかがだろうか?
構成・文/サンクレイオ翼