「バイオハザード」最新作の監督が語る、原作ゲームとホラー映画への情熱「リブートではなく“ゲームに基づいたストーリー”」

インタビュー

「バイオハザード」最新作の監督が語る、原作ゲームとホラー映画への情熱「リブートではなく“ゲームに基づいたストーリー”」

1996年に誕生して以来、4半世紀にわたり、愛されてきたゲーム「バイオハザード」シリーズ。ゾンビがはびこる世界をリアルな恐怖と共に描き上げた内容は世界中のゲームファンを大いに熱狂させた。これにひと役どころか、2役も3役も貢献したのが、ポール・W・S・アンダーソン監督による映画化だ。2002年に製作された映画『バイオハザード』は、ミラ・ジョヴォヴィッチが体現した堂々たるアクション・ヒロイン像の魅力により好評を博し、シリーズ化されて2016年の完結編まで6作が作られ、こちらも人気を博した。

“ゲームに基づいたストーリー”を突き詰めた実写映画化最新作『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』
“ゲームに基づいたストーリー”を突き詰めた実写映画化最新作『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』

そして2022年、新たな映画化作品が登場。注目の『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』(1月28日公開)は、そもそもアンダーソン監督のシリーズとはコンセプトが異なる。まず、ゲームシリーズの1&2作目のストーリーに忠実であること。そして、アンダーソン監督版がヒロイン・アクションにアレンジされていたのに対して、本作はゲームの原点であるホラーに回帰したこと。この新機軸について、ヨハネス・ロバーツ監督に話を聞いた。

「今回の映画は、“ゲームに基づいたストーリー”というのがふさわしいかもしれない」

海底47m」シリーズなどで知られるロバーツ監督は、ホラーの分野で才気を発揮する俊英。彼はかねてから、このゲームの映画化に意欲を示していた。「今回のリブートを依頼される約2年前に、水中で『バイオハザード』を撮影することについて、本作のプロデューサーで親友でもあるジェレミー・ボルトと話をしたこともありました。ちょうど『海底47m』を撮影したばかりのころです。ゲームシリーズのなかにはゾンビザメが出てくるものもあるので、おもしろいと思ったんです。今回それは実現しなませんでしたが、ともかく『バイオハザード』の映画化は僕の念願でした」。

ミラ・ジョヴォヴィッチ主演、ポール・W・S・アンダーソン監督で第6作まで制作された「バイオハザード」シリーズ
ミラ・ジョヴォヴィッチ主演、ポール・W・S・アンダーソン監督で第6作まで制作された「バイオハザード」シリーズ写真:EVERETT/アフロ

もちろんロバーツ監督は、アンダーソン監督版の映画「バイオハザード」シリーズを追いかけていた。「映画の『バイオハザード』1作目は大好きでした。傑作だと思います。恥ずかしながら『フィフス・エレメント』を観ていなかったので、本作で初めてミラの演技を観て、すっかり恋に落ちてしまいました。アンダーソン監督はすばらしいアクションディレクターであり、ミラは最高のアクション女優の1人です。アンダーソン監督の演出は、動きもカット割りもスピード感があり、色と照明の点で独自のSF的なスタイルがありました。そしてミラは銃をとても上手に扱い、信じられないほどの身体能力を発揮していました」と、彼は過去のシリーズを評する。

【写真を見る】原作ゲームファンの監督がこだわった、映画「バイオハザード」最新作の美術セット
【写真を見る】原作ゲームファンの監督がこだわった、映画「バイオハザード」最新作の美術セット

とはいえ、アンダーソン監督版に物足りなさがなかったわけではない。「あの映画のストーリーはゲームには存在しない、ミラ演じるアリスに基づいていました。クレア、レオン、クリスなどのゲーム上のキャラクターは映画がシリーズ化されたことで登場しますが、彼らは常にアリスに従属している存在でした。僕はゲーム愛好家だから、クレア、レオン、クリスが物語の主人公になってほしいという想いはありましたね。それと、ホラー好きとしてはゲームが生みだす恐怖感と雰囲気を押し出したかったんです。そういう意味では、今回の映画はリブートというより、“ゲームに基づいたストーリー”というのがふさわしいかもしれない。もしくは、“別のユニバース”でしょうか。20数年前、当時学生だった僕がゲームをプレイしていて感じた、あの雰囲気を映画で作りたかったんです。そう、まさにゲームが本作のテンプレートでした。屋敷や警察署、クレアの帰郷など、いろいろな場所から様々なゲームキャラクターが登場します。そんなゲームの要素を組み立てて、1本の映画として、すべてをうまく回す必要がありました」。

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