「ウォレスとグルミット」と『チキンラン』が帰ってくる!Netflixとのタッグで新作が製作へ
「ひつじのショーン」などで知られるイギリスを代表するアニメーションスタジオ「アードマン・アニメーションズ」。同スタジオが『ことりのロビン』(Netflixにて配信中)に続いてNetflixとタッグを組み、スタジオの看板キャラクターである「ウォレスとグルミット」シリーズの最新作と、スタジオ初の長編作品となった『チキンラン』(00)の続編を手掛けることが発表された。
おとぼけ者の天才発明家ウォレスと、その相棒でしっかり者の犬のグルミットを主人公にした「ウォレスとグルミット」シリーズは、これまで製作された短編4作すべてがアカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされ、内2作品が受賞。また同シリーズ初の長編『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』(05)はアニー賞で10部門を席巻、第78回アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞するなど、輝かしい賞歴と共に世界中に熱狂的なファンを持つ、アードマンを代表する人気シリーズ。
『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』(08)の後、2010年にテレビシリーズが製作されたが、長年ウォレス役の声を務めたピーター・サリスが健康上の理由で俳優を引退し2017年に逝去。シリーズの生みの親であるニック・パーク監督は、2018年の『アーリーマン〜ダグと仲間のキックオフ〜』公開時のインタビューで、サリスとの思い出を語りながら「彼の後継者を見つけることは簡単ではない。でも可能ならば『ウォレスとグルミット』は続けていきたい」と意欲をのぞかせていた。
そしてこのたび製作が発表された新作映画は短編か長編かは不明で、タイトルやボイスキャストについても明らかになっていないが、引き続きパーク監督がメガホンをとり、『野菜畑で大ピンチ!』にも参加したメルリン・クロッシンガムが共同監督、「ひつじのショーン」シリーズを手掛けてきたマーク・バートンが脚本を担当する。
ストーリーは、ウォレスが発明した“スマート・ノーム”という発明品が自我を持ち始めたことで手のつけられない事態に発展し、グルミットが戦いに挑むというもの。ウォレスの発明家生命に関わる一大事となりそうだ。
一方、強欲な女主人に支配された養鶏場を舞台にニワトリたちが脱走を試みる姿を描いた『チキンラン』は、全世界興収2億ドルを超える大ヒットを記録し、その後何度も続編のアイデアがあがるも実現には至らず。パークと共に監督を務めたピーター・ロードは2019年に来日した際のインタビューで「長い時間をかけてようやく良いストーリーと良いチームを作ることができて、やっと踏み切ることができた」と明かし、2005年に起きたスタジオ火災によって前作の資料がすべて焼失したことにも言及。「またあのキャラクターたちと遊びたいと思ったから、すべて作り直しました」と語っていた。
実に20年以上の時を経て製作される続編のタイトルは『Chicken Run: Dawn of the Nugget』。ミセス・トゥイーディーの養鶏場から逃げ出すことに成功した雌鳥のジンジャーは、人間の手の及ばない遠く離れた島にたどり着き、群れの全員が安心して暮らせる平和な楽園を築きあげる。しかし本土ではニワトリたちの種の存続をおびやかす新たな脅威が出現。ジンジャーと仲間たちは、やっとの思いで手にした自由を失う危険を顧みず、本土に残った同胞たちを救うために奔走する。
メガホンをとるのは『マウス・タウン ロディとリタの大冒険』(06)や『パラノーマン ブライス・ホローの謎』(12)のサム・フェル監督。パークとロードは製作総指揮として参加。また、ジンジャー役の声を担当するのは『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(18)のタンディ・ニュートン。前作でメル・ギブソンが声を担当したロッキー役を『シャザム!』(19)のザッカリー・リーヴァイが担当するほか、ジェーン・ホロックスやイメルダ・スタウントンら前作から続投するボイスキャストも。
『Chicken Run: Dawn of the Nugget』は2023年、「ウォレスとグルミット」新作映画は2024年にそれぞれNetflixにて配信予定。続報に乞うご期待!
文/久保田 和馬