長澤まさみ×東出昌大×小日向文世が改めて語る「コンフィデンスマンJP」と互いへの想い「こんなに長い付き合いになると思わなかった」
「こんな時代だからこそ、底抜けに明るい物語を楽しんでいただければいいなと思います」(東出)
――オールスターキャストの布陣ですが、初参加組で特に印象的だったキャストとは?
長澤「私は一番絡みが多かったマルセル真梨邑役の瀬戸(康史)さんでしょうか。完璧な頭脳の持ち主同士であるマルセルとダー子が闘うところがおもしろいです」
小日向「皆さん、それぞれすごかったのですが、僕的には丹波役の松重(豊)くんかな。本シリーズでは、年が離れている共演者が多いので、近い人が仲間に入ってくれたことがうれしかったです」
東出「僕は城田(優)さんと生田(絵梨花)さんが演じたゴンザレス夫妻です。本当に明るいし語学が堪能で、お2人のコンビネーションが現場を盛り上げてくださいました。すでに世界観が作られているところに新しく参加することって、僕自身は苦手ですが、お2人は本当にはつらつとされていて、新しい原動力になってくれたと思います」
――今回は、ダー子の言葉にぐっとくるシーンがありました。
長澤「私もダー子たちがこの3人でなくちゃいけなかった理由を知って、すごく心が温まりました。ようやくダー子自身の人間味が少し垣間見られたような気がして。今回でダー子自身がもともと強いのか、それとも2人がいてくれたから強くいられるのか、ということがわかった感じがします」
東出「僕もダー子の素を見て、感動しちゃいました」
――コロナ禍で大変な日々が続いていますが、本作には日々を一生懸命生きている名もなき人たちへのリスペクトや愛が詰まっていたし、“信頼”することがシリーズのテーマになっていたんだと思い、ぐっときました。
長澤「ダー子が一番大切にしているのはやっぱり“信じること”で、それはコンフィデンスマンの仲間に対しても、敵に対しても言えることかなと。ダー子は悪いことをした人たちをおしりぺんぺんして成敗しますが、心優しいので人の本質的な部分は信頼していると思います。相手を信頼しないとなにも始まらない。今回は特にそこを深く感じました」
小日向「確かにコンフィデンスマンは、命を懸けて美術品を集めていますが、最終的にダー子が必要としているものがなんなのかが、本作で再認識できた気がします。そういう意味で、映画を観終わったあとに、感動するんじゃないかなと」
東出「台本をいただく度に、今回は騙されないぞ!と心して読み進めますが、結局映画の結末と同じで、最後にはやっぱり騙されたとうならされます。でも、いつもそのあとで、澄み渡った青空のような爽快感を感じます。だからこんな時代だからこそ、底抜けに明るい物語を楽しんでいただければいいなとも思います」
「東出くんが長男、まさみちゃんが長女、僕が次男です(笑)」(小日向)
――2018年に連続ドラマがスタートしましたが、本作で映画は3作目となりました。
長澤「こんなに長い付き合いになると思わなかったですよね」
東出「全然思わなかったです」
小日向「足掛け5年ですから。映画化されてからさらにワーッと人気が広がりましたよね」
――長く共演してきたなかで、改めてそれぞれをリスペクトしている面を教えてください。まずは長澤さんについて。
小日向「東出くんも言ってましたが、ダー子がボクちゃんを騙す時の泣き芝居がすごいなと。本当に心から泣いているんです。もちろんそれは騙すためのテクニックですが、やはり演じるまさみちゃんのテンションは、毎回すごいと思います」
東出「そうなんです。ダー子はキャラクターが立っているので、爆発力があるところがフィーチャーされがちですが、あの役は本当にお芝居がうまくて、多面的にいろいろなことができる人じゃないと成り立たない。だから長澤さんは、本当にお芝居が上手な方だなと思います」
――では、東出さんについては、いかがですか?
小日向「東出くんはいつも沈着冷静ですごく物知りです。物事をちゃんと噛み砕いて僕らに説明してくれるので、僕たちは『へえ!』といつも感心して聞いている感じですね。だから僕らの間では、お兄ちゃんみたいな存在です。東出くんが長男、まさみちゃんが長女、僕が次男です(笑)」
長澤「確かにそうです。あと、芝居に対して実直なところでしょうか。たぶん東出さんは映画が好きなんです。時々、映画に対する真剣な想いを語ることもあります」
小日向「役に対してストイックですよね。ほかの映画を観ても、すごく作り込んでいるなと感じます」
――では、小日向さんの魅力はどんな点でしょうか?
小日向「僕もいいこと、言ってよ(笑)」
長澤「あはは(笑)。コヒさんは俳優のいいところを見つけるのがうまいです。新参者だろうが、長い付き合いだろうが、それぞれに光るものをちゃんと見つけて、そのよさをわかったうえで一緒にお芝居をしてくれます。お芝居で疑問に思うことはハッキリ言う方で、そういう厳しさもありますが、どんな人も受け入れられるところがすごいと思います」
東出「お芝居はもちろん、普段の過ごし方でもそうですね。コヒさんがこれだけ明るくて包容力があるからこそ、僕たちもすごくやりやすくなっていると思いますし、現場が救われている部分があると思います。とてもありがたいことです」