『ちょっと思い出しただけ』が描く“誰もが戻れないあの頃”「観たら甘酸っぱい、思い出したらほろ苦い」

コラム

『ちょっと思い出しただけ』が描く“誰もが戻れないあの頃”「観たら甘酸っぱい、思い出したらほろ苦い」

池松壮亮×伊藤沙莉×松居⼤悟が見せた新たな魅力

怪我でダンサーの道を諦めた照⽣役を演じた池松壮亮
怪我でダンサーの道を諦めた照⽣役を演じた池松壮亮[c]2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会

効果的な構造や親近感を覚えるストーリーに加え、作品にグッと引き込ませる大きな要因がキャストたちの自然な芝居だろう。例えば、夢を諦めた元ダンサーという独特の雰囲気を持つ役を演じた池松は、ダンスシーンでの抜群の身体表現やさりげない表情、声色で心情を見事に浮かび上がらせている。一方の伊藤も、いきなり踊りだすなど感情をダイレクトに表現する葉を大胆かつ繊細に体現しており、2人の演技の巧みさには、以下のような言葉が集まっていた。

「池松さんは役というより素で演技されているような気がしました。すてきでした」(20代・女性)
「踊っている池松さんもステキですが、タクシーで葉ちゃんに告白するシーンがたまりません」(30代・女性)
「役が伊藤さん自身ではないかと思ってしまうくらいハマっていてすてきでした」(10代・女性)
「演技力が高く、引き込まれた。前半の笑わないところ、後半笑顔が増えていくところの移り変わりがすばらしかった」(30代・男性)
「素直な気持ち、本音での行動、道はわからなくても歩もうとする思いが、ある種フツウの女性として共感できた」(30代・女性)

初共演とは思えない息の合った演技を見せている池松壮亮と伊藤沙莉
初共演とは思えない息の合った演技を見せている池松壮亮と伊藤沙莉[c]2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会

さらにまったく同じタイミングで笑いおどけ合う様子からケンカでの気まずい空気感まで、恋人同士という役柄をナチュラルに体現した2人の抜群のアンサンブルを称える感想も見られた。

「池松さんと伊藤さんの声とお芝居、雰囲気がとてもよかった。2人の世界観に一緒に連れていってもらったようないい時間を過ごせた」(20代・女性)
「本当に心に響くすてきな作品でしたが、お2人のアドリブ?セリフ?見分けられないほどの自然な演技に感動の2時間でした」(30代・女性)

屋敷裕政(ニューヨーク)にも「掛け合いは無論、演技もお上手でした」(30代・男性)などの演技を褒める声も
屋敷裕政(ニューヨーク)にも「掛け合いは無論、演技もお上手でした」(30代・男性)などの演技を褒める声も[c]2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会

また、そんな役者陣の魅力的な演技を引き出している松居監督には「ヒロインをかわいく見せる、心に残る恋愛映画と言えば松居監督だと思っています。いつも池松さんの新たな魅力を引き出してくれます」(30代・女性)、「男性の色気を引き出すのがいつも上手い!」(30代・女性)と演出に対するコメントも。

さらに「時間軸の使い方や音を大切にする部分が松居監督らしいと感じました」(20代・女性)、「現在から過去にさかのぼるところ、そして現在に戻るところや間を大切にしているところに松居監督らしさを感じた」(30代・男性)など、多くの人がその手腕を称えていた。

「新しい松居監督を見つけたような気がします」(40代・女性)という言葉も寄せられるなど、初の恋愛映画で新たな境地に達した松居監督作
「新しい松居監督を見つけたような気がします」(40代・女性)という言葉も寄せられるなど、初の恋愛映画で新たな境地に達した松居監督作[c]2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会

昔を振り返るようなほろ苦い恋愛映画が、このところ多く作られているなか、オリジナリティがありながらも、しっかりと共感もできる稀有な1作となっている『ちょっと思い出しただけ』。劇場で鑑賞して「せつないけどあったかくて、リアルで、幸せな気持ち」(20代・女性)を味わってみてはいかがだろうか。

構成・文/サンクレイオ翼

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