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才色兼備だけど、時におちゃめで時に熱い!『鹿の王』のもう1人の主人公、若き医師ホッサルが尊い…

コラム

才色兼備だけど、時におちゃめで時に熱い!『鹿の王』のもう1人の主人公、若き医師ホッサルが尊い…

医師として、一人の人間として“熱く”生きる姿に胸アツ!

そんなかわいらしいギャップがある一方、天才医師としてのカッコよさを感じる場面ももちろんある。「多くの人たちの病を治す」という医師として熱い志を持つホッサル。ミッツァルに感染した遺体に躊躇なく触れて見聞するなど、自身の命の危険を顧みずに原因究明を果たそうとする姿からは、ただ優秀なだけではない、情熱的な人物であることもうかがわせる。終盤には、涙を流し、体を震わせながら「抗ってもがくことが、生きるということじゃないのか!」と必死に訴える名台詞も。これは医師ホッサルとしての生き方を示し、“生きること”をなによりも尊ぶ彼らしい言葉と言えるだろう。

「抗ってもがくことが、生きるということじゃないのか!」と必死に訴えかけるホッサル
「抗ってもがくことが、生きるということじゃないのか!」と必死に訴えかけるホッサル[c]2021「鹿の王」製作委員会

このようなホッサルの内面を理解し、彼のために尽力するのが従者のマコウカンで、2人の掛け合いは必見。マコウカンに対するホッサルの行動や言動はやや無茶ぶりのように感じるが、物語が進むにつれその無茶ぶりが2人の“熱い絆”のもとで成立しているのだと気づかされる。そして、ヴァンに対するホッサルの行動にも、クールな見た目と相反する熱い情を感じるはず。ヴァンはミッツァルを克服しており、ホッサルは彼の血から抗体を作ることができるのでは?と考える。ヴァンはミッツァルの蔓延を抑えることができるカギを握る人物なのだが、ホッサルは彼に無理強いはせず、医師としての想いを丁寧に伝えながら徐々に距離を縮めていく。ヴァンの心が少しずつ開かれていき、2人の関係性が深まる様子にも注目してもらいたい。

ミッツァルの解明に苦悩し、疲れを見せることもあるホッサル。そんな彼を支えるマコウカンとの関係性も尊い
ミッツァルの解明に苦悩し、疲れを見せることもあるホッサル。そんな彼を支えるマコウカンとの関係性も尊い[c]2021「鹿の王」製作委員会

ホッサルの“尊さ”を引き立たせる竹内涼真の甘いボイス

ホッサルの声を担当するのは、俳優の竹内涼真。アニメのキャラクターを演じるのは本作が初めてとのこと。竹内の声は少し低めで男らしい声という印象があり、ホッサルの美しい容姿と合うのだろうか?と、疑問に思う人もいるかもしれないが、想像をはるかに超えるハマり役。なにも知らずに聞けば、竹内の声とわからないほど甘く知的な声で、ここまでで説明してきたホッサルの“尊さ”をさらに引き立たせている。


必ず希望はある!
必ず希望はある![c]2021「鹿の王」製作委員会

鹿の王 ユナと約束の旅』の主人公がヴァンであることに違いないが、彼と変わらないほどの活躍を見せるホッサル。2019年には本編のその後を描いた続編小説「鹿の王 水底の橋」も発売されており、そこではホッサルが単独主人公として登場する。このことからも、彼が「鹿の王」の物語において、どれだけ重要な登場人物であるかがわかってもらえるはず。ぜひ劇場で、ホッサルの雄姿を見届けると共に、彼の持つ“ギャップの尊さ”も楽しんでほしい。

文/阿部裕華


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