『HOMESTAY』で3度目の実写映画化!海外でも愛される「カラフル」の作者、森絵都が描く世界の魅力
なにわ男子の長尾謙杜の初主演でも話題のAmazon Original映画『HOMESTAY』が、Amazon Prime Videoで世界同時独占配信中。あることが原因で亡くなった高校生、小林真の身体に「ホームステイ」することになった魂「シロ」が、100日間という限られた時間のなかで真の死の真相を探る本作は、世代や国境を超えて幅広いファンに愛される直木賞作家、森絵都の名作小説「カラフル」の実写映像化。小説の世界が役者陣の演技でどのように映しだされるのか興味深いが、そもそも森絵都の創出する物語に人々が魅了されるのはなぜだろう?
ここでは、その魅力を過去の映像化作品などを紹介しながらひも解き、映画『HOMESTAY』の見どころや注目ポイントにもググっと肉迫!読むだけで映画への期待が高まるはず。
第一線で走り続ける森絵都が描きだす、“森ワールド”とは
森は1990年に、第31回講談社児童文学新人賞を受賞した「リズム」でデビュー。2000~02年に発表した「DIVE!!」シリーズは第52回小学館児童出版文化賞に輝き、2006年の短編集「風に舞い上がるビニールシート」で第135回直木賞を受賞。児童文学からキャリアをスタートさせたが、その後は絵本やアニメの脚本、翻訳から一般文芸小説まで幅広いジャンルの作品を手掛け、30年近く第一線で活躍し続けていることも彼女の人気を表している。
森作品の最大の魅力は、シンプルでありながらも意表をついた設定で読者を引き込み、知らず知らずのうちに登場人物に感情移入させる巧みな構成にあるだろう。
例えば、第36回野間児童文芸賞を受賞した1998年の「つきのふね」は、親友とのケンカや不良グループとの確執などで毎日が憂鬱な中学2年生の女の子が、人類を救う宇宙船を開発中の男性と出会い、とんでもない事件に巻き込まれていく展開。そのなかでストレートに描かれる、思春期特有の過ちや対人関係から生じる焦りや孤独感は、大人の心にも突き刺さるものになっていた。
また、森が大人たちの世界を初めて描いた2005年の「いつかパラソルの下で」は、厳格な父の教育に嫌気が差して家を飛びだした25歳の独身女性のもとに、父の死後、生前の父を知る女性から連絡が入り、そこから思いがけない展開を見せるストーリー。父の足跡をたどる主人公が父の本当の想いを知り、大切なことを学びながら成長していく姿に胸を熱くした人もいるはずだ。
「DIVE!!」「みかづき」など、映像化作品も多数
ユニークな設定で想像力を掻き立てられる森作品には映像化されたものも多数ある。直木賞受賞作「風に舞いあがるビニールシート」は、2009年に吹石一恵の主演でNHKにてドラマ化。UNHCR(国連難民高等弁務官)東京事務所で働く若き日本人女性の愛と転身を描き、世界で懸命に働く人たちにスポットを当てたその内容は、森作品のなかでも極めて珍しい、現実社会をリアルに見つめたもの。
また、高さ10mから時速60km、わずか1.4秒の間に見せる空中演技の美しさと正確さを競う水泳の飛び込み競技の世界に男子中学生たちが挑む青春小説「DIVE!!」シリーズは、2008年に林遣都の主演で実写映画化。2017年のテレビアニメ化に続き、2021年にはドラマ化もされ、原作誕生から20年以上経ったいまもその人気は衰えていない。
さらに、第12回中央公論文芸賞を受賞した「みかづき」も2019年に高橋一生、永作博美の共演でドラマ化。学習塾の経営に乗りだした家族3代にわたる奮闘記は、小説、ドラマともに戦後日本の教育の在り方について問いを投げかけ、反響を呼んだ。
森ワールドのなかでも最も愛されている人気作「カラフル」
そんな森作品のなかで、国境をも越えて知られているのが、1998年に発表され、第46回産経児童出版文化賞に輝いた感動のミステリー「カラフル」だ。国内では、2000年にも映画化されており、タイでも同作を原作とした『ホームステイ ボクと僕の100日間』(18)が製作された。また、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲』(01)、『河童のクゥと夏休み』(07)などで知られる原恵一監督による2010年の劇場アニメ『カラフル』は、第34回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞や第35回アヌシー国際アニメーション映画祭長編作品特別賞&観客賞などに輝いている。
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