批評家が選ぶ、ブルース・ウィリス出演映画ランキング!『シックス・センス』『ダイ・ハード』などおすすめの“フレッシュ”10選
<前編>で紹介した通り、批評家から総スカンをくらった“0%映画”が9作もあるブルース・ウィリス。しかし全盛期の彼の作品では90%超えの高評価も5作あることがわかる。なお演技の評価としては、アカデミー賞にノミネートされた経験は一度もなく、賞レースで善戦したのは唯一ゴールデン・グローブ賞の助演男優賞にノミネートされた『ブルース・ウィリス/イン・カントリー』(89)だけで、同作は68%の評価となっている。
もっとも高い評価を獲得したのは、まさにウィリスの名前を世界中に知らしめた大傑作『ダイ・ハード』。別居中の妻に会うためにロサンゼルスにやってきた“世界一ツイてない男”ジョン・マクレーン。参加したパーティの会場がテロリストたちによって占拠されてしまい大勢が人質に取られるなか、なんとか脱出に成功したマクレーンは、たった1人でテロリストたちに応戦していく。
当時まだいっぱしのテレビ俳優だったウィリスが主演に抜擢され、予想を上回る大ヒットと高評価を獲得。その後シリーズ化され、いずれもヒットは記録したものの第1作を上回る批評的成果は見られず。とはいえ『ダイ・ハード3』(95)から12年経て製作された『ダイ・ハード4.0』は82%フレッシュを獲得するなかなかの高評価。15%ロッテンの低評価となった第5作『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(13)が、ウィリスの近年の低迷のきっかけの一つとなったことは<前編>で説明した通りだ。
次いで高評価を獲得したのは、現時点でウィリスにとって“最後の傑作”といえるSFアクション『LOOPER ルーパー』と、ウェス・アンダーソン組に加わった『ムーンライズ・キングダム』の93%フレッシュ。前者はのちに『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(17)を手掛けるなど大出世を果たすライアン・ジョンソンの想像力豊かな脚本が高評価のポイントとなっており、警官役を演じた後者も批評家から絶大に支持されるウェス・アンダーソン作品だからというのが大きいだろう。
純粋にウィリスの演技が作品の魅力を高めた作品をピックアップするならば、やはり86%フレッシュの高評価を獲得している『シックス・センス』ではないだろうか。のちに『アンブレイカブル』(01)などでもタッグを組むM.ナイト・シャマラン監督がメガホンをとり、アカデミー賞では6部門にノミネート。ラストに待ち受ける衝撃の事実に、世界中が騒然とした名作だ。ここでウィリスが演じたのは、ハーレイ・ジョエル・オスメント演じるコールと心を通わす小児精神科医のマルコム役。ラストシーンで彼が見せる表情は、スリラー映画ではなかなかお目にかかれない切なさにあふれていた。
すっかりB級映画専門の俳優となってしまったウィリス。公開待機作も続々と控えているが、どれも同じようなタイプの低予算映画ばかりだ。近い将来、彼がかつてのような第一線の俳優として復活することを願わずにはいられない。
文/久保田 和馬