「ONE PIECE」「ドラえもん」「寄生獣」…そして「名探偵コナン」。BUMP OF CHICKENと映画主題歌の親和性
4月15日(金)より公開するアニメ「名探偵コナン」劇場版第25弾『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』。本作の主題歌を担当するのは大人気ロックバンド、BUMP OF CHICKEN(以下、BUMP)だ。主題歌「クロノスタシス」を使用した予告編が話題となり、現在YouTubeで再生回数が130万回を超えている。
BUMPはこれまでにも数多くの映画主題歌を担当してきた。主題歌となる楽曲のすべてが書き下ろしとなっており、作品の一部として物語に彩りを与えている。今回はそんなBUMPの映画主題歌にスポットを当て、BUMPと関わりの深い「アニメ映画」と「山崎貴監督」の軸で楽曲を解説していく。
BUMP初の映画主題歌起用は『ワンピース THE MOVIE デッドエンドの冒険』
「名探偵コナン」の主題歌を含め、これまでに計5作品の劇場アニメの主題歌を担当しているBUMP。初めて映画のタイアップを果たしたのが、アニメ映画『ワンピース THE MOVIE デッドエンドの冒険』(03)だった。
同作の主題歌は「sailing day」。“出航日”という意味のタイトルや「Sailing Day 舵を取れ」という歌詞、疾走感のあるサウンドは、次なる場所へ冒険に向かう海賊、麦わらの一味の姿が思い浮かぶ。また、「sailing day」のMVには「ONE PIECE」の主人公であるモンキー・D・ルフィが大挙して走る場面も。さらに、2019年からBUMPが楽曲を提供している日清食品カップヌードルのCMシリーズ「HUNGRY DAYS」では、「ONE PIECE」の登場人物にスポットを当てたバージョンが制作された。約15年ぶりとなるBUMPと「ONE PIECE」の共演に心躍らせたファンも少なくないだろう。
「ONE PIECE」に続くのは、またもや国民的アニメの劇場版だ。2011年公開の『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 はばたけ天使たち』では「友達の唄」が主題歌となった。メンバー全員「ドラえもん」のファンであり、なかでも旧作「鉄人兵団」(86)がお気に入りだったそう。当時のインタビューでは、作詞作曲を務めた藤原基央が「曲を書く時に『鉄人兵団』でお気に入りだった主人公のび太とゲストキャラクター、リルルの友情を巡る終盤のシーンを思い浮かべた」と語っている。 「忘れないよ また会えるまで」「ずっと友達でしょう」という歌詞からも、2人の友情を汲み取ることができる。
2015年に放送されたテレビアニメ「血界戦線」のオープニングテーマ「Hello,world!」を皮切りに、アニメ作品のタイアップが増加。2020年公開のアニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』の主題歌「Gravity」から立て続けに劇場アニメとタイアップを果たしている。同作は、別冊マーガレット(集英社)で連載する少女漫画が原作で、男女の複雑な四角関係を描いた青春物語だ。ファンの間ではあまり恋愛ソングを書かないことで有名なBUMP。同楽曲もまた、恋愛の枠にとどまらず友情を含めた人と人とのつながりを「Gravity=引力」と例えているように感じる。さらに、挿入歌には2017年にリリースされた「リボン」を起用。かなり絶妙なタイミングで同楽曲が流れるシーンは必見だ。挿入歌にもぜひ注目してみてほしい。
そして、2021年には「Small world」が『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』の主題歌に。すみっコは「すみっこにあつまってくるなかまたち」の総称だが、「小さな世界」の意味を持つ本楽曲は、そんなすみっコたちの世界を表現しているよう。また、登場するキャラクターの大半はなにかしらのコンプレックスを抱えている。キャラクターたちの悲しみや弱さが表現されたAメロの歌詞から、仲間と出会ったことで自分の存在を認めていくようなストーリーの流れを感じ取ることができる。孤独と優しさを描いた「すみっコぐらし」の物語にピッタリの楽曲だ。