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「ONE PIECE」「ドラえもん」「寄生獣」…そして「名探偵コナン」。BUMP OF CHICKENと映画主題歌の親和性

コラム

「ONE PIECE」「ドラえもん」「寄生獣」…そして「名探偵コナン」。BUMP OF CHICKENと映画主題歌の親和性

山崎貴とBUMPのタッグはテレビCMが始まり

劇場アニメ以外にもBUMPと関わりが深いのが、日本の映画監督、山崎貴だ。最初に山崎とタッグを組んだのは2006年。山崎が演出を手掛けたロッテ「エアーズ」のテレビCMにBUMPの「涙のふるさと」が起用され、CMの延長線である同楽曲のMVの監督も山崎が担当したことがきっかけだった。

もともとBUMPのファンだった山崎の熱烈なオファーで、2007年公開の映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の主題歌として「花の名」を書き下ろした。同作のキャッチコピー「会いたい人がいる。待っている人がいる。」は、同楽曲の歌詞の一部から採用されている。BUMP公認のラブソングである同楽曲だが、歌詞のなかに直接的な言葉の表現はされていない。だからこそ、『続・三丁目の夕日』で描かれている親子や夫婦、友だち、恋人など様々な絆に当てはめることができるのだろう。

また、『~続・三丁目の夕日』の続編『ALWAYS 三丁目の夕日'64』(12)の主題歌も担当したBUMP。同作のテーマ「別れ」に因んだ楽曲「グッドラック」は、寂しさや悲しさだけでなく「別れがあるからこそ気づけたことがある」という前向きな歌詞が印象的だ。映画を観終わったあとも、「明日もがんばろう」とそっと背中を押してもらえた気持ちになる。山崎が手掛けた同楽曲のMVには、「ALWAYS」シリーズに出演している俳優陣が登場するため、映画とあわせて見てほしい。ほかにも『三丁目の夕日'64』の公開と同時期に開催された「GOLD GLIDER TOUR」では、山崎が3DCGアニメーションでオープニングムービーを手掛けたことも大きな話題になった。

そして、山崎は2014年に「WILLPOLIS TOUR」でもオープニングムービーを担当。時を同じくして山崎が監督を務める映画『寄生獣』でもタッグを組むことに。ある日突然、謎の生命体に寄生された主人公の数奇な運命を描いた同作の主題歌「パレード」。これまでのBUMPの楽曲とは異なり、打ち込みが多く、ボーカルエフェクトが使われており、作品のどことなく不気味な雰囲気や主人公の焦りや葛藤が演出されているよう。

そんな同楽曲とは打って変わり、同作の続編である『寄生獣 完結編』(15)の主題歌「コロニー」はメインの楽器にピアノを使用した美しく壮大なバラードだ。「どこだろう 今痛んだのは」といった歌詞は、2014年に肺気胸を起こして入院した際の藤原の心情が書かれている。そんな自身の実体験を踏まえつつも、『寄生獣』の登場人物たちの長い葛藤が終幕を迎えるという意味に捉えることができる歌詞がまた絶妙だ。山崎が手掛けた「パレード」「コロニー」の3DCGをフルに使用したMVの世界観も映画とあわせて堪能してほしい。

「名探偵コナン」と初タッグ!タイトル「クロノスタシス」の意味とは?

冒頭に記載した通り、今年も映画主題歌を担当するBUMP。「名探偵コナン」の劇場版といえば、『名探偵コナン 緋色の弾丸』(21)の東京事変「永遠の不在証明」や、『名探偵コナン 紺青の拳』(19)のHIROOMI TOSAKA「BLUE SAPPHIRE」など比較的クールな印象の楽曲が続いていた。

そんななか、BUMPが手掛ける今作の主題歌「クロノスタシス」は予告映像で聞く限りポップチューンの印象を受ける。また、「クロノスタシス」は“速い眼球運動の直後に見たものが止まっているように感じる錯覚”を表している。なんとも意味深なタイトルなだけに、どのように作品と楽曲がつながっているのか、そんな視点からも映画を楽しんでみてはどうだろうか。

文/阿部裕華

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