【第94回アカデミー賞】『コーダ あいのうた』トロイ・コッツァーがろう者の男性俳優として初の助演男優賞!「いつまでもハリウッドに残る橋です」
アメリカの現地時間3月27日(日本時間3月28日)にロサンゼルスのドルビー・シアターで開催中の第94回アカデミー賞授賞式。助演男優賞は、『コーダ あいのうた』(公開中)で主人公・ルビーの耳の聞こえない父親役を演じた、自身もろう者である俳優トロイ・コッツァーが受賞した。男性のろう者俳優の受賞は、史上初の栄誉となった。
『コーダ あいのうた』は、健聴者の少女と、耳の聞こえない家族が織り成す音楽を通じた物語を描き、2021年のサンダンス映画祭で4冠を達成したヒューマンドラマ。テレビシリーズ「ロック&キー」のエミリア・ジョーンズが主演を務め、コッツァーや、『愛は静けさの中に』(86)のマーリー・マトリンら実際に聴覚障がいを持つ俳優陣が家族を演じた。
割れんばかりの拍手を浴びたコッツァーは「会場を感動の渦に巻き込んだ。ここに立つことができたなんてすごいことです。信じられません。皆さまに評価していただいて感謝します」と手話でスピーチ。
「本作は世界中で公開され、ホワイトハウスでも公開され、バイデン大統領とも会いました。その時、汚い言葉を教えようとしたら、おとなしくしてなさいと言われましたが…」とおちゃめに語り「私はろう者のためにこの舞台に立つことができた。いろんな方たちに感謝を申し上げたい」と礼を述べた。
さらにスティーブ・スピルバーグ監督の「最高の監督の定義は、非常にコミュニケーションのスキルがある人だと言われていましたが、シアン・ヘダーはまさに最高の人で、障がいのない人とそうでない人との橋渡し役を務めてくれました。それはいつまでもハリウッドに残る橋です」と熱い想いを口にした。
コッツァーは初ノミネートにして初受賞となった。また、コッツァーの妻役を演じたマトリンも、『愛は静けさの中に』で第59回アカデミー賞主演女優賞を受賞している。
文/山崎伸子