ネタバレあり!『モービウス』を機に改めて考えたい「スパイダーマン」の複雑な世界線

コラム

ネタバレあり!『モービウス』を機に改めて考えたい「スパイダーマン」の複雑な世界線

スパイダーマン」のヴィランとして登場するマーベル・コミックスの人気キャラクターで、生きるために医師から怪物になった悲しき主人公にスポットを当てた、ジャレッド・レト主演作『モービウス』が公開されている。

【写真を見る】結局『モービウス』はどのユニバースの話?
【写真を見る】結局『モービウス』はどのユニバースの話?[c]2022 CTMG. [c] & TM 2022 MARVEL. All Rights Reserved.

「スパイダーマン」シリーズといえば、映画化の権利関係もあり、様々なユニバースやシリーズが存在し、少しややこしい状態。『モービウス』はどんな位置づけの作品なのかを含め、状況を整理していきたい。

『モービウス』が属する“ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース”とは?

天才的な頭脳を生かし、人工血液を開発するなど名医として多くの人命を救ってきたマイケル・モービウス。彼は自身が抱える血液の難病を治すため、吸血コウモリの血清を自らに投与。すると病気が治るだけでなく超人的な力まで得るも、その代償として暴走する力の制御に苦しむことになってしまう。

マイケルは吸血コウモリの血清によって難病を治そうとするのだが…(『モービウス』)
マイケルは吸血コウモリの血清によって難病を治そうとするのだが…(『モービウス』)[c]2022 CTMG. [c] & TM 2022 MARVEL. All Rights Reserved.

一方、同じ病気を患っていた子ども時代からの親友マイロも、血清によって能力を得るが、その全能感の虜になり次々と悪事を働いていく。同じ能力を手にしながらも対立することになった2人がぶつかり…というのが本作の物語だ。

同じ能力を巡って親友のマイロと対立してしまう(『モービウス』)
同じ能力を巡って親友のマイロと対立してしまう(『モービウス』)[c]2022 CTMG. [c] & TM 2022 MARVEL. All Rights Reserved.

本作は、ヴィランを主人公としたことや同じ能力を持つ者同士が戦うという点でも類似している『ヴェノム』と同じ“ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース”(SSU)の第3作目。SSUとは、以前は“ソニー・ピクチャーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクター”(SPUMC)と呼ばれていたもので、その名の通りソニー・ピクチャーズが手掛けるスパイダーマン関連映画のこと。さらにそれらの作品群が世界観を共有しているユニバースのことを指す。

『モービウス』と同じソニーズ・スパイダーマン・ユニバースの1作である『ヴェノム』
『モービウス』と同じソニーズ・スパイダーマン・ユニバースの1作である『ヴェノム』[c] Columbia Pictures /Courtesy Everett Collection

「スパイダーマン作品はすべてSSUなのでは?」と思うかもしれないが、ここに絡んでくるのが、マーベル・スタジオによる“マーベル・シネマティック・ユニバース”(MCU)。もともとスパイダーマンの映画化権はソニーが持っているのだが、トム・ホランド版がMCUに合流したため、現行の『スパイダーマン』映画はMCU、それ以外のスパイダーマンヴィランの映画はSSUという状況になっているのだ。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が開いたマルチバースの扉

スパイダーマンとドクター・ストレンジの浅はかな行動により、マルチバースの扉が開かれてしまった『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
スパイダーマンとドクター・ストレンジの浅はかな行動により、マルチバースの扉が開かれてしまった『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』[c] Sony Pictures Releasing / [c] Marvel Entertainment / Courtesy Everett Collection

そしてこのSSUとMCUは“マルチバース”と呼ばれるややこしい関係にある。マルチバースとは、日本語で「多元宇宙」といったところ。いくつもの宇宙が存在し、それぞれの宇宙にそれぞれのスパイダーマンが存在するパラレルワールド的なもの、と言えばイメージがつきやすいだろう。この説明としてアニメ映画『スパイダーマン スパイダーバース』(18)がわかりやすいのでチェックしてみてほしい。

様々なユニバースのスパイダーマン集結を描いた『スパイダーマン スパイダーバース』
様々なユニバースのスパイダーマン集結を描いた『スパイダーマン スパイダーバース』[c] Columbia Pictures / courtesy Everett Collection

SSUとMCUは本来交わることのない世界線なのだが、その前提を覆してしまったのが『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(22)。この作品では、スパイダーマンとドクター・ストレンジのある失敗によってマルチバースの扉が開かれ、SSUとMCU、さらには過去の「スパイダーマン」シリーズの世界線までもがリンクしてしまい、3人のスパイダーマンと、各シリーズのヴィランたちが対決するという物語が描かれた。

トビー・マグワイア版の『スパイダーマン』を思わせる要素も『モービウス』の予告には登場した(『スパイダーマン2』)
トビー・マグワイア版の『スパイダーマン』を思わせる要素も『モービウス』の予告には登場した(『スパイダーマン2』)[c] Columbia/courtesy Everett Collection

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、各シリーズのヴィランとスパイディが勢ぞろいしぶつかり合った
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、各シリーズのヴィランとスパイディが勢ぞろいしぶつかり合った[c] Sony Pictures Releasing / [c] Marvel Entertainment / Courtesy Everett Collection

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