ネタバレあり!『モービウス』を機に改めて考えたい「スパイダーマン」の複雑な世界線
『モービウス』の世界線と今後の可能性
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でのマルチバース化によって、『モービウス』に浮上したのが、この作品がどのユニバースで起きている話なのか?という疑問だ。
例えば、予告映像ではマイケルが歩く裏路地の壁にトビー・マグワイア版スパイダーマンのイラストの上に「MURDERER(人殺し)」と書かれた落書きがチラッと映ったが、これはマグワイア版「スパイダーマン」シリーズに加え、スパイダーマンがミステリオを殺した犯人に仕立て上げられたMCU版『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(19)も想起させる(本編には登場しなかったが…)。
さらに、本編に映るタブロイド紙デイリービューグルの紙面には、「RHINO ON THE LOOSE: ZOO HOAX FOOLS US ALL」という見出しが掲載されており、これは「アメイジング・スパイダーマン2」(14)に登場したヴィランのライノを思わせる。このように、至るところに異なるスパイダーマンのユニバースの要素が入り混じっている。
そして結局『モービウス』はどこのユニバースに属するのか?という疑問の答えだが、劇中でモービウスが悪党を脅すシーンで発した「私はヴェノムだ」という冗談や、刑事の「サンフランシスコの一件以来の大惨事だ」というセリフ(『ヴェノム』はサンフランシスコが舞台)、そしてなにより、本作の監督のダニエル・エスピノーサが明言しているように、『モービウス』は『ヴェノム』と同じユニバースの作品となっている。
そんな本作だが、エンドクレジット後でまたユニバースの垣根を越える展開が描かれる。というのもMCU版『スパイダーマン:ホームカミング』(17)のヴィランであるバルチャーことエイドリアン・トゥームスが、『モービウス』の世界に突如現れ、モービウスと手を組もうと近寄ってくるのだ。
これはコミックスに登場する、スパイダーマンを苦しめるヴィランのチーム、“シニスター・シックス”を彷彿とさせ、SSU4作目として『クレイヴン・ザ・ハンター』が控えていることからも、ヴィランたちが集結することは十分にあり得る展開といえるだろう。
今後のSSU作品がどのような展開を見せていくのか?ユニバースのつながりを意識しながらチェックしてみてほしい。
文/サンクレイオ翼