映画ライターよしひろまさみちがプロの目線で「ファンタビ」人気を分析!「全方位が楽しめる作品になっている」
「ダンブルドアの人物像がどのように形成されていったのか明らかに」
そしてタイトルにもあるように、本作ではダンブルドア先生の秘密が描かれる。「ダンブルドアはイマイチつかみどころのない人で、『ハリー・ポッター』シリーズでも詳しく描かれないまま終わってしまいました。ハリーを守りながらも、時には試練を与える存在だったダンブルドアの人物像がどのように形成されていったのか。彼が意外と複雑な家庭環境で育ったことも明らかになり、スッキリした気がします。名家に生まれたがゆえの葛藤みたいなものも描かれて、人間ドラマが好きな方にも響くポイントになっています」。本作でダンブルドアの内面を理解し、シリーズを遡る楽しみにもなりそうだ。
「魔法ワールドは3世代ムービーになりました」
「ハリー・ポッター」シリーズから追ってきた人たちにも響くポイントが満載だという。「魔法ワールドは3世代ムービーになりました。クリス・コロンバス監督の第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』と第2作『ハリー・ポッターと秘密の部屋』を子どものころに観て育った人たちは親世代になり、その子どもの親は祖父母になっています。『スター・ウォーズ』シリーズは長い時間をかけたけれど、『ハリー・ポッター』シリーズはもっと短いスパンで3世代ムービーになったという奇跡的なヒット作だと思っています。そんなふうに『ハリー・ポッター』シリーズを追ってきた人たちは、『ファンタスティック・ビースト』シリーズにもホグワーツ魔法魔術学校も出てきたりして、『ハリポタ』の香りを感じ取っているはず。今回はホグワーツを訪れたジェイコブにスリザリン寮の生徒たちがいたずらをする、なんてシーンもあって。スリザリンの生徒は昔から悪知恵が働くんだなと感慨深いし、『ハリポタ』好きがくすっとできる小ネタも盛り込まれていてファンサービス的なところもあります。これまで『ファンタスティック・ビースト』シリーズには触れてこなかった人でも、テレビ放送などでお茶の間に流れる機会の多かった『ハリー・ポッター』シリーズを目にしたことはあるはず。名前くらいは聞いたことがあるというものも出てくるので、全方位が楽しめる作品になっていると実感できます」。
取材・文/タナカシノブ