「オビ=ワン・ケノービ」初回&2話を編集長がネタバレありでレビュー!「スター・ウォーズ」史上最もドラマチックな瞬間の“その先”
ディズニープラスで独占配信中の「オビ=ワン・ケノービ」。「スター・ウォーズ」ファンが待ち望んだドラマシリーズを、MOVIE WALKER PRESSでは、映画メディアの編集長たちによるリレーレビュー連載で毎週追っていきます。初回&2話は「DVD&動画配信でーた」編集長の西川亮がお届けします。
悔恨と愛と哀しみの入り混じった魂の叫び…あの戦いから10年後
「選ばれし者だったのに!」
「弟と思っていた!愛していたのに!」
『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(05)のクライマックス、惑星ムスタファーでオビ=ワン・ケノービがアナキン・スカイウォーカーに向けて発した、悔恨と愛と哀しみの入り混じった魂の叫び。なんとエモい。何度観ても泣ける、「スター・ウォーズ」シリーズ屈指の名場面だ。
1999年の『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』から始まる、いわゆるプリクエル3部作を簡単に説明するなら、「師オビ=ワン・ケノービの導きのもと、“選ばれし者”アナキン・スカイウォーカーがジェダイとして修行を積むが、やがてダークサイドへ堕ちていく」物語である。エピソード3のラストで、完全にダークサイドへと転向したアナキンは、オビ=ワンとの対決に破れて重傷を負い、生命維持のためのスーツを装着、ダース・ベイダー誕生と相成る。
※以降、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。
あのキャラも登場…『レオン』を彷彿とさせる中年&少女の意外な逃亡劇が展開
それから10年後を舞台に、「オビ=ワン・ケノービ」の物語は始まる。ダース・ベイダーの指揮下、“ジェダイ狩り”が行われているこの時代、オビ=ワンは自らフォースを封印し、世捨て人のような日々を送りながら、アナキンの子ルーク少年を人知れず見守り続けている。アナキンとの別離、ジェダイの大粛清に心痛めながらもなにもできず見過ごしてきた彼の目に、生命の輝きは感じられない。演じるのは、エピソード1〜3に引き続きユアン・マクレガー。実にいい年の取り方をしている。劇中での時間経過は10年だが、実際は2005年以来なので17年。その老け具合も「ああ、苦労してるものね」と妙に納得がいく。
一方、オルレアンのベイル・オーガナ議員に引き取られたレイア姫(ルークの双子の妹)は、オーガナ家の実子ではないことで従兄弟から蔑まれている。ルークと比べると一見恵まれて見える彼女も、心に孤独を抱えている。そんなレイアがある時、ならず者に誘拐されてしまう。オーガナ議員の依頼で、オビ=ワンはレイアを救出すべく、ネオンきらめく惑星ダイユーへと旅立つ。
こうして幕を開けた「オビ=ワン・ケノービ」は、2話までの時点では、くたびれた(けれど実はめちゃくちゃ強い)おじさんと孤独なワケあり少女の逃亡劇として話が進む。どこか『レオン』(94)や『アジョシ』(10)のようで、「スター・ウォーズ」でこれをやるのか!と少し意外だった。が、よくよく思い出してみると、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の冒頭も、捕われたレイアをオビ=ワンが救いに行く展開。巧妙に、後に続く物語と対比構造を成しているのだ。