「イカゲーム」イ・ジョンジェ監督作から『ベイビー・ブローカー』まで。カンヌ国際映画祭を“韓国映画”で振り返る
5月末に閉幕した第75回カンヌ国際映画祭を振り返ると、韓国映画が何度目かの黄金期を迎えていることがわかる。コンペティション部門に出品されたパク・チャヌク監督の『Decision To Leave(英題)』が監督賞を、是枝裕和監督が韓国資本、キャストで撮った『ベイビー・ブローカー』(6月24日公開)の主演ソン・ガンホが男優賞を受賞した。また、ミッドナイト部門に「イカゲーム」(Netflixで独占配信中)主演のイ・ジョンジェの初監督、脚本作『HUNT(英題)』、並行部門の批評家週間のクロージング作品としてチョン・ジュリ監督の『Next Sohee(英題)』が上映されている。ある視点部門で上映された『Return to Seoul(英題)』は、カンボジア系フランス人のダビ・チュウ監督によるフランス、ドイツ、韓国ほか5か国の共同製作で、KOFIC(韓国映画振興委員会)の助成を受けてソウルで全編が撮影されている。
“映画監督”イ・ジョンジェ、鮮烈なデビューを果たす!
映画祭序盤の木曜深夜のミッドナイト・スクリーニングには、世界的大ヒットとなった「イカゲーム」主演俳優の新しい顔を見るため、若いフランス人が大挙して並んでいた。映画祭のメイン会場であるルミエール劇場の収容人数は約2300人。スタンディング・オベーションの時間は計っていないが、口笛と大歓声で祝福された新人監督イ・ジョンジェは、映画監督としてかなり幸福なデビューを飾ったといっていい。「イカゲーム」撮影中にも脚本改訂稿を夜な夜な執筆し、韓国映画の王道ともいえる骨太スパイ・サスペンスを作り上げたイ・ジョンジェのインタビューは、別記事でお届けしたい。
カンヌ国際映画祭が最も盛り上がる週末の夜、ビーチ沿いのレストランを借り切って行われたKOFIC主催のパーティには、前日深夜に初監督作のワールド・プレミアを迎えたばかりのイ・ジョンジェ、彼の親友で主演俳優であるチョン・ウソン、そしてチョン・ジュリ監督とダビ・チュウ監督が登壇し、韓国映画の前途洋々を祝った。韓国作品のレッドカーペットでもよく見かけた赤い髪のYouTuber、「文明特急」のジェジェの姿もあった。韓国映画でおなじみのソジュが振る舞われ、締めには辛ラーメン、そしてお土産に配られたのは「イカゲーム」で世界中の視聴者の目を釘づけにしたダルゴナ(カルメ焼き)の型抜きセット。種類も4柄あり、缶を開けると傘のダルゴナと針が入っていて、ソン・ギフン(イ・ジョンジェ)の気分も味わうことができた。