ユアン・マクレガーとヘイデン・クリステンセンが語る「オビ=ワン・ケノービ」撮影秘話「最終話にも楽しいイースター・エッグがあるので期待して!」
「本作のダース・ベイダーは、まだオビ=ワンに対する恨みの感情に飲み込まれている」(クリステンセン)
――第5話はスペシャルな回で、オビ=ワンがアナキンに対してまだ諦めきれてないことが垣間見える瞬間が描かれました。『エピソード3』から10年経ち、オビ=ワンとアナキンのお互いに対する想いが、このシリーズでどう変化していくのかを考えて役作りをされたのでしょうか?
クリステンセン「『エピソード3』の最後の戦いは悲劇的なものでした。観客は2人の歴史を理解しているし、お互いを兄弟のように愛していたことをわかっているからこそ、死闘を繰り広げる彼らを見ると、心が打ちのめされてしまいます。
今作のダース・ベイダーは、まだオビ=ワンに対する恨みの感情に飲み込まれているんだと思います。ジェダイに惑わされ、裏切られたと感じている。それはもちろん彼の主観ですが、オビ=ワンを恨む気持ちは深いけれど、それもまた仲たがいをする兄弟のような感じでもあり、その底流にはまだ相手に対する大きな想いが残っています」
マクレガー「昨日の夜、『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』を観始めたんだけど、ヨーダとドゥークー伯爵との関係に近いものがあるよね?」
クリステンセン「確かに!」
マクレガー「戦っているんだけど、いろいろな感情がチリチリと焼けるように交錯するし、それと同時に師弟という関係性もぬぐえない」
クリステンセン「その通りですね」
――マクレガーさんは、オビ=ワンのアナキンに対する気持ちはどう捉えましたか?
マクレガー「オビ=ワンは、アナキンのことを諦めることができないんだと思います。その人の心に善があると知っている限り、その人らしくない状況に堕ちてしまったり、以前とは違う人になってしまったとしても、過去を切り捨てることはできないんじゃないかと。逆にそうするためには、相当極端な状況まで行き着かなければいけないけど、オビ=ワンはまだ、そこまでは行っていないと思います。
オビ=ワンはアナキンを愛しているし、ダークサイドにアナキンを追いやった責任だけではなく、彼の命を自ら奪ってしまったという自責の念を抱えて生きてきたんです。でも、アナキンが生きていることを知った時、オビ=ワンの中には様々な感情が渦巻いたのではないでしょうか。もしかしたら、アナキンを取り返せるかもしれない、救えるかもしれないと、希望をも感じていると思います」
――回想シーンのお2人の若さにびっくりしましたが、あのビジュアルに至るまでにかかった時間や、若作りの秘訣を教えてください。
マクレガー「仲間からたくさんの助けを借りました(笑)」
クリステンセン「デジタル界の仲間からね(笑)」
――衣装など、特に記憶に残っていることはありますか?
マクレガー「オリジナルの衣装に身を包んであのセットに戻れるというのは、やはり特別な経験で、スタッフからも熱い想いを感じたし、現場の雰囲気もすごかったです。すてきだなと思ったことの一つに、スタッフの多くが新三部作世代で、正真正銘の『スター・ウォーズ』ファンだったこと。現場は常にワクワク感であふれていたし、ベイダー姿のヘイデンがいると、それが最高潮に達します(笑)。でも昔ながらの姿をした僕たちが登場した日の衣装は『エピソード2』のものだったよね、ヘイデン?」
クリステンセン「そうそう」
マクレガー「(このシーンを撮影した日の)現場は、明らかにざわついていましたね(笑)。それに僕らもお互いと戦うことができたし。撮影も確か第3話での戦いの前に行われたので、本当にエキサイティングでした」
クリステンセン「本当に、とても特別な日でした。あのシーンを僕らで演じられるなんて!と、思いながら演じていました。デボラ監督が『アクション!』と言うたびに、僕らは戦闘の位置に立ちますが、『最高にクールなことをいま、僕らはしているんだ!』という気持ちを共有している感覚がずっとありました。本当にすばらしい経験でした」
――マクレガーさんは、フラッシュバックのシーンで、オビ=ワンとダース・ベイダーが、ライトセーバーを手にして対峙する場面が、すごくエモーショナルでしたが、その時の感想を聞かせてください。
マクレガー「僕は『エピソード4』が大好きで、公開当時、あの作品に圧倒された6、7歳の幼い自分に直接リンクしている瞬間が何度かありました。その一つが、ベイダーが初めて自分に向かってくる瞬間でした。あんな気持ちになるとは思わなかった(笑)。あのヘルメットで、あの衣装と体躯。それだけで7歳の自分に戻ったかのように反応してしまい、本物の、リアルな恐怖心に襲われました(笑)。ホラー映画を含め、いろいろなタイプの映画に関わってきましたが、仕事で怖いと思ったことはいままでなかったのに、ダース・ベイダーの顔が迫ってきた時、初めて『こわっ!』となりました(笑)」
クリステンセン「アハハ」
――クリステンセンさんは、ケガを治癒させるバクタ・タンクのなかでああいう姿で出てくるという経験は初めてだったと思いますが、あのベイダーを演じてみての感想を聞かせてください。
クリステンセン「バクタ・タンクで撮影させてもらえたのには感謝しかないです。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でのシーンが大好きだったから、自分があれを演じられるということはクールな体験でした。でも特殊メイクのためにメイク用の椅子に座っていなければいけない時間は長かったです(笑)。撮影も確か数日かけて行われました。どのショットもあらかじめ細かくデザインされていました。でも、あのシークエンスは大好きだし、演じるのも楽しかったです」